小児科

おむつ皮膚炎の治療はA・B・C・D・E

今回はこちらの論文をピックアップしました。

こちらの論文では、おむつ皮膚炎の治療法について、(少しジョークを交えながら)ノウハウが記載されていました。

Dr.KID
Dr.KID
こういう論文があっても良いとます。

有益な内容も多数ありましたので、ご紹介させていただきます。

おむつ皮膚炎の治療はA・B・C・D・E!

この論文の著者によると、おむつ皮膚炎の治療は;

  • A:Air(空気)
  • B:Barrier(バリア)
  • C:Cleansing(清潔)
  • D:Diaper(おむつ)
  • E:Education(教育)

の5つに分けられるそうです。1つずつみていきましょう。

A:Air(空気)

”『おむつ皮膚炎にならないには、どうしたら良いでしょう?』

と質問されたら

『おむつをつけなければ、おむつ皮膚炎にはなりません』

と答えるのが、最善の処方でしょう(ジョークです)。”

 

と論文に説明されています。

この話はもちろん冗談なのですが、おむつをずっと着用しているとお尻や股が蒸れてしまうため、おむつ皮膚炎になりやすくなります。

  • おむつを交換する時
  • 入浴する時

など、おむつを外す瞬間が日常にはたくさんあります。

この時に、「お尻を綺麗にしたら、乾燥させることも大事ですよ」と述べられています。

B:Barriers(バリア)

おむつ皮膚炎がひどい時、皮膚にバリアを作ってあげることで、おむつ皮膚炎の原因となる排泄物(尿や便)と皮膚の接触を避けることができます。

最もよく使用されているのは;

  • 亜鉛華軟膏
  • ワセリン

の2種類でしょう。

亜鉛華軟膏について

亜鉛華軟膏はおむつ皮膚炎の治療でよく処方されていると思います。

亜鉛華軟膏はジクジクしてしまった皮膚を乾燥させてくれ、皮膚炎が改善するこうかがあります。

ワセリンについて

 ワセリンは皮膚の表面に留まり、バリアを形成してくれ、尿や便の刺激から皮膚を守ってくれる働きがあります。

亜鉛華軟膏とともに、よく処方される塗り薬と思います。

その他

亜鉛華軟膏とワセリン以外では、処方薬がメインになりますが

  • ステロイド軟膏
  • 抗真菌作用のある塗り薬

を処方することがあります。

ステロイド軟膏は皮膚に炎症が強いときに使用することがあります。

陰部はステロイドの吸収率が高いため、短期的に使用することがほとんどでしょう。

抗真菌作用のある塗り薬は、おむつ皮膚炎と一緒に皮膚にカンジダという真菌が感染してしまった場合に使用することがあります。

C:Cleansing(皮膚の清潔)

おむつ内は尿や便のため不潔になりやすいです。

おむつ皮膚炎になってしまったら、普段よりマメにおむつを替えるようにすると良いでしょう。

おむつを替える際に、皮膚をしっかりと綺麗にすることを心がけてましょう。

 毎回、お尻拭きでこすると皮膚が荒れてしまうことがあります。

そんなときは、 お尻シャワーなどで軽く流してあげると良いでしょう。

 D:Diaper(おむつ)

おむつに関しては;

  • おむつを頻回に替える
  • 吸収力のよいおむつにする

の2つがポイントでしょう。

日本の紙おむつは非常に吸収力が高いものが多いですが、メリーズやグーン、パンパースあたりは吸収力に定評があります。

 E:Education(教育)

教育は主に小児科医や皮膚科医の役割ですが;

  • 皮膚を清潔に保つ
  • おむつを頻回に替える
  • 吸収力の高いおむつを試してみる
  • 皮膚にバリアを形成する(亜鉛華軟膏・ワセリンなど)

をきちんと指導することです。

余分な成分は避けましょう

市販製品には本来不要な成分が含まれているものが多数あります。

例えば、「天然配合成分」と書かれているような商品は要注意です。

「天然配合成分」と聞くと、なんとなく体によさそうな印象をうけるかもしれませんが、炎症した皮膚に塗るとかえって悪化して、不適切な場合もあります。

また、ビタミンが配合された軟膏が販売されていることもありますが、おむつ皮膚炎の治療であれば、本来はビタミンの成分は必要ありません。

本来は不要な成分を避けることも重要でしょう。

まとめ

今回は論文をピックアップして、おむつ皮膚炎の治療を簡単に説明してきました。

まとめると、

  • A:皮膚は適度に乾燥させる
  • B:軟膏などで皮膚にバリアを作る
  • C:皮膚を清潔に
  • D:吸収力のよいおむつにしてみる
  • E:余分な成分の入っている塗り薬は避ける(特に市販薬)

がポイントになるでしょう。

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。