科学的根拠

エキナセアやオステオパシーは小児の中耳炎に有効?

エキナセアは、かぜ症状(急性上気道感染症の症状)をはじめとする、様々な状態において、治療薬としてよく使用されているようです。

エキナセアは日本ではあまり使用されていないですが、欧米では比較的よく使用されているようです。小児において、15%ほどの家庭で使用されているという調査もあるようです。

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(推奨ではありません)

また、オステオパシーも使用されているようです。その理由としては、耳管機能障害の一因となる構造的な問題を、オステオパシーで改善しようとする試みのようです。

マミー
マミー
エキナセアが中耳炎の予防に効くって本当ですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
小児で行われた研究があったと思います。

Dr.KID
Dr.KID
一緒に見てみましょう。

 

ポイント

  •  乳幼児の風邪にエキナセアやオステオパシーをすると中耳炎の予防になるか

  •  両方とも、明らかな効果はなかった
参考文献

Wahl RA, Aldous MB, Worden KA, Grant KL. Echinacea purpurea and osteopathic manipulative treatment in children with recurrent otitis media: a randomized controlled trial. BMC Complement Altern Med. 2008 Oct 2;8:56

   日本では一般的に使用されていないので、注意しましょう

 

エキナセアやオステオパシーは小児の中耳炎に有効?

研究の背景/目的

再発性の中耳炎は幼児において一般的な問題である。

エキナセアおよびオステオパシーは、小児の中耳炎の予防手段として提案されているが,十分に研究されていない。

本研究は,小児における急性中耳炎の予防のためのエキナセア(Echinacea purpurea)および/またはオステオパシー (OMT) の有効性を評価するために実施された。

研究の方法

1999〜2002年にアリゾナ州で行われた6ヶ月間の二重盲検ランダム化比較試験になります。この研究では、2 x 2のfactorial designで行われました。

対象 患者は, 12〜60ヶ月の小児で

  •  6か月以内に3回以上の急性中耳炎のエピソードあり
  • 1年で少なくとも4回の急性中耳炎のエピソードあり

のいずれかを「再発性中耳炎を有する」と定義した。

90人の子供(非ヒスパニック系白人44%、ヒスパニック系39%、男性57%)を登録し, そのうち84人を少なくとも3か月間追跡した。 小児を,二重プラセボ,エキナセア+偽OMT,真性OMT (頭蓋操作を含む)+プラセボエキナセア,または真性エキナセア+OMTの四つのプロトコル群の一つに無作為に割り当てた。Echinacea purpureaの根と種子のアルコール抽出物(またはプラセボ)を,各々の感冒の最初の兆候で10日間投与した。 五回のOMT訪問(偽の治療法を)を3か月以上提供した

治療

本研究は

  •  エキナセア+プラセボのオステオパシー
  •  プラセボ+オステオパシー
  •  エキナセア+オステオパシー
  •  プラセボ+プラセボのオステオパシー

の4グループで行われた。

Dr.KID
Dr.KID
エキナセア(あり/なし)・オステオパシー(あり/なし)の2 x 2 = 4通りの治療を、2 x 2 factorial designなどと言います。

エキナセア[Echinacea purpureaの根と種子のアルコール]抽出物(またはプラセボ)は、各々の感冒初期で10日間投与した。

オステオパシーは、五回の訪問治療を3か月以上提供した

アウトカム

主なアウトカムは、

  •  急性中耳炎の再発

などであった。

Dr.KID
Dr.KID
小児のかぜに、エキナセアなどを含む製剤 or プラセボを投与して、経過を比較したのですね。

研究の結果

エキナセアとオステオパシーの間には相互作用は認められなかった。

プラセボと比較して、エキナセアは6か月の追跡期間中に少なくとも一回の急性中耳炎エピソードを有するリスクが増加していた(65%vs.41%;相対リスク, 1.59; 95%CI, 1.04–2.42)。

オステオパシーは、プラセボと比較して、中耳炎の再発リスクにあまり影響を及ぼさなかった(44%対61%; 相対リスク, 0.72; 95%CI, 0.48–1.10)。

結論

中耳炎になりやすい幼児に対してエキナセアで風邪を治療しても、急性中耳炎のリスクは低下せず、実際にリスクを増加させる可能性がある。

5回までのオステオパシーは急性中耳炎のリスクを有意に低下させない。

考察と感想

2 x 2 = 4通りの研究結果は以下の通りでした:

図は論文を改変

この図をみると、オステオパシーを併用しても中耳炎のリスクはほとんど変わっていないようです。また、エキナセアを使用すると中耳炎のリスクが大きく上昇しているのが分かります。

Dr.KID
Dr.KID
小児のかぜに、エキナセアなどを含む製剤 or プラセボを投与して、経過を比較したのですね。

まとめ

 中耳炎になりやすかった乳幼児において、エキナセア(Echinacea purpurea)やオステオパシーを感冒時に使用すると、中耳炎のリスクが下がるか検討したランダム化比較試験です。

エキナセアに関しては、プラセボと比較して有益性はほとんど示されず、むじろ中耳炎のリスクが上昇する傾向にありました。

オステオパシーに関しては、中耳炎のリスクを上げも下げもしない印象でした。

 

小児で使用される咳止めのエビデンスをまとめたnoteもあります。

 

 

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Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。