小児科

赤ちゃんを守る睡眠環境に関して

  •  赤ちゃんの睡眠環境をどう整えたら良いかよくわからない
  •  ベビーベッドが良いか、赤ちゃん用の布団が良いかわからない
  •  どのようなベビーベッドを用意すれば良いかわからない

という質問はよくあります。

今回はこちらの質問に答えてみようと思います。

先にポイントだけ説明しますと、「安全性」という側面だけを強調すれば、赤ちゃん用の布団に寝かせるより、ベビーベッドで赤ちゃん一人で寝かせる方が良いです。

ベビーベッドの中には余分なものは置かず、ベッドバンパーなども使用しないほうが良いでしょう。

今回は、その詳しい理由についても解説していきます。

ポイント

  •  基本的には赤ちゃん用のベッドに寝かせることを推奨
  •  安全の基準を満たしたベッドを使用する
  •  余分なものは中には入れない
  •  ベッド・バンパーなども基本は不要
マミー
マミー
子どもの睡眠環境はどうしたら良いですか?

Dr.KID
Dr.KID
1つずつ解説していきましょう。

安全性に重きをおいて書いていますので、現実的に可能か考える際の、参考にしていただければと思います。

 赤ちゃんを守る睡眠環境

ここからは具体的に1つずつ説明していきましょう。

 何を重視すべき?

赤ちゃんのベッドや布団は様々なものがあります。

中には可愛いデザインのものもあります。また、「子どもにはいいものを」とついつい高いものに手を出したくなってしまいます。

ですが、まずは「安全性」を重視することをお勧めします。その上で、好きなで価格帯、デザインを選ぶと良いでしょう。

 ベビーベッド vs. 赤ちゃん布団

小児の睡眠でよく話になるのが、ベビーベッドにするか?赤ちゃん用の布団で眠らせるかです。
小児科的な視点でいうと、ベビーベッドで赤ちゃんを寝かせる方が安全です。

赤ちゃん用の布団で寝かせる場合は、安全性において以下の懸念点があります:

  •  近くで寝ている大人用の布団による窒息
  •  兄弟姉妹がいる場合、体がかぶさることによる窒息
  •  小さなおもちゃの誤飲による窒息

といった不確実性がありあす。

さらに、添い寝がSIDSのリスクを上昇させたとするシステマティックレビューとメタ解析もすでに報告されています:

添い寝はSIDS(乳児突然死症候群)のリスクを上昇させる今回はこちらの研究をピックアップしました。 『添い寝はSIDS(乳児突然死症候群)のリスクを上げるか?』という疑問に対して、メタ解...

このため、添い寝は基本的にお勧めできないです。

添い寝に関しては、可能であれば1歳になるまでは(少なくとも最初の6ヶ月)はやめた方がよいと考えられています。

安全なベッドとは?

「安全なベビーベッド」と言われても、何を具体的に指しているか分からないことも多いでしょう。具体的には、

  •  硬めのマット
  •  柵の間隔が 6cm未満
  •  ベッド本体とマットに間隔がほとんどない
  •  マットから計測して、ベッドの高さが66cm以上

といった基準があります。

1つずつ説明していくと、柔らかいマットは体が沈んでしまい、窒息の原因となります。

また、ベッドの柵の間隔が広いと、頭がはさまってしまう恐れがあります。

ベッド本体とマットの間隔に関しも、広いと体や頭がはまりこんでしまう可能性があります。

高さに関しては、つかまり立ちができるようになった時の転落を予防するためです。

 気をつけた方がいいベッド

気をつけた方が良いベッドですが、

  •  アンティーク性ベッド
  •  昔から、代々、受け継がれているベッド

などがあります。

どちらも古いベッドになるので、現代で推奨されている安全性の基準を満たしていない可能性があります。

また、古いベッドですと、例えば木製のものであれば、細かいトゲが出てしまっているものもあルため、使用する前に注意した方が良いでしょう。

ベッド・バンパーについて

バンパーはベッドの内側に結びつける緩衝材です。「ベビーベッド・バンパー」や「ベッド・ガード」などと呼ばれています。

この製品は、「赤ちゃんが頭をぶつけるのを防ぐ」「柵に手足を挟んでしまうのを防ぐ」「エアコンの風が直接当たるのを防ぐ」といった謳い文句で販売されていることがあります。

可愛いデザインのものも多く、ついつい購入したくなってしまいますが、安全性の観点からすると、この商品もNGです。

その理由ですが、

  •  「衝撃から守る」というエビデンスはない
  •  バンパーに挟まって窒息した例が多数ある
  •  紐などに絡まって怪我をした例がある
  •  バンパーを足がかりに、ベッドの柵を登り転落した

などの例があります。

例えば、米国小児科学会(AAP)や米国疾病対策センター(CDC)は、「乳児の死亡の原因になりうる」としてベビーベッドのバンパーを使わないよう推奨しています。

 そのほか、ベビーベッド内で気をつけたいこと

そのほか、ベビーベッドで気をつけたいこととして、

  •  おもちゃやぬいぐるみを入れない
  •  分厚い毛布や布団を入れない
  •  柔らかい枕やクッションを入れない
  •  ベビーベッドより高い棚などを近くに置かない
     (本や写真たて、おもちゃ、電子機器などが、地震の時にベッド内に入る)
  •  窓からは離す(カーテンやブラインドが入らない)
  •  直射日光が当たらない

 いつまでベビーベッドを使用してよい?

いつまでベビーベッドを使用してよいかですが、目安としては、柵を越えられるような身長になるまででしょう(90 cmくらいまでが妥当かと思います)。柵を越えられるようになると、転落の危険性があるからです。

 赤ちゃん用の布団を使用する場合

ご家庭や居住環境によってはベビーベッドを置くことが困難なケースもあるでしょう。

赤ちゃん用の布団を使用する場合も基本は一緒で、

  •  硬めの敷布団を使用する
  •  布団やその周りに、柔らかいクッション、枕、おもちゃなどは置かない
  •  家族の布団とは極力遠くに離す(可能であれば2 m以上)

がよいでしょう。

Dr.KID
Dr.KID
安全性を第一に選択されるとよいでしょう

まとめ

今回は、赤ちゃんの睡眠の環境について解説してみました。

基本はベビーベッドが良いですが、使用されるベッドが安全なものか見極める必要もあります。

参考にしていただければ幸いです。

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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。