新型コロナウイルス

シカゴでの小児の新型コロナウイルス感染の特徴は?

今回の研究は、アメリカのシカゴにおいて新型コロナウイルスに感染した小児の症例集積研究です。

ポイント

  •  新型コロナウイルスに感染した小児の症例集積
  •  かねがね、過去の報告と類似している
  •  小児→小児、小児→成人の感染例もあるよう。
マミー
マミー
新型コロナウイルスの症状の特徴や家族感染は?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

  シカゴでの64例の症例集積です。

 研究の概要

背景

現在まで、大都市の医療センターにおいて、入院症例の基礎疾患・合併症や共感染に関する小児は発表されていない。

方法

2020年の3/5〜4/8/にシカゴ公衆衛生局 (CDPH) に報告された、0~17歳の新型コロナウイルス感染患者を対象としたケースシリーズです。

詳細な症例調査を実施し、入院と非入院症例の特徴を比較を統計学的に行った。

結果

3月5日〜4月8日の間に、CDPHの検査室で確認された新型コロナウイルス感染者は6369例であり、64人 (1.0%) は0~17歳の小児であった。

このうち、10人の患者 (16%:10/64) は入院し、 7人 (70%: 7/10) は集中治療 (ICU) を必要とした。

入院期間の中央値は4日(範囲:1–14)であった。

入院 あり なし 合計
N 10 54 64
      48
(75%)
発熱 9 28 36
(56%)
呼吸苦 7 10  
年齢 3.5y 12y  
無症状     3
(5%)
慢性疾患 4 3? 7
1 1? 3
心臓 2 0? 2
トリソミー21 2 0? 2
免疫 1 1? 2
共感染 4   4
マイコプラズマ 1    
アデノウイルス 2    
ライノ/エンテロ 1    
大腸菌 1    
ロタウイルス 1    

ICUに入室したのは7名で、4名は慢性疾患があったようです。全てが基礎に共存症または共感染を有していた。複数の検査室で確認された感染を有する34のユニークな家庭の中で、検査室で確認された感染の中央値は2 (範囲:2~5)であり、 31 (91%) の家庭は少なくとも1人のCOVID‐19感染成人を持っていた。

家族内に成人の感染例がいたのは、31世帯(91%)のようです。

感染経路ですが、成人→子供、子供→子供、子供→成人のいずれも認めており、世帯の内訳は以下の通りでした:

  世帯:N = 15
成人→子供 73%
子供→子供 13%
子供→成人 13%

 

結論

入院患者において詳細に行なわれた症例の調査では、根底にある共存症と同時感染が重篤な疾患に寄与した可能性がある。

家庭内伝播の頻度を考慮すると、併存症のある患児において、家族が新型コロナウイルスに感染した場合、医療者はこの点をよく配慮したほうがよい。

感想と考察

無症状の患者が5%と意外と低い値でした。呼吸苦があり、入院している例が多いですが、こちらは既報通りでしょう。

大人→子供の報告例は多かったですが、子供→子供、子供→大人も報告されています。

どうでもいい内容かもしれませんが、単純な計算ミスと思われる内容があります:

Among all 64 patients, …fever was present in 36 (56%), 
…Reported presence of fever and dyspnea were significantly higher in hospitalized patients compared to non-hospitalized patients (9/10 vs. 28/54)

発熱患者の合計は36人と述べられていますが、入院患者で9名、非入院患者で28名なので、9+28で37では?と思ってしまいました。

 

入院症例 vs. 非入院症例で「統計学的な検定」をしていますが、この意義も少し理解し難いです。
ほとんどは単なる記述統計で、推論をするわけではないので、検定は本当に必要なのかと思ってしまいました。

Dr.KID
Dr.KID
入院例と非入院例では背景が違うのは当たり前のことで、平均や割合といった値を見比べればわかることだと思うのですけどね…。これは論文のtable  1からP値がなくなった理由にも通ずる問題です。

既報をまとめると、こんな感じですね↓↓

まとめ

今回の研究では、シカゴで新型コロナウイルスに感染した64例の報告でした。

大まかには既報通りのデータが多いです。一方で、これまで大人→子供の感染報告がほとんどでしたが、子供→子供、子供→大人も一部で認めているようです。

 

Dr. KIDが執筆した医学書:

小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2020/11/26 06:46:35時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。