因果推論

Causal Mediation Analysis(因果媒介分析)④:媒介因子が2つある場合

前回はCausal Mediation Analysisにおいて、g-formulaとregressionを用いてempirical analogueを導入し、数式的な解説を紹介してきました。

Causal Mediation Analysis(因果媒介分析)③:Empirical Analogueについて前回はCausal Mediation Analysisにおいて、2-way / 3-way / 4-way decomposition...

そこで、今回は、実際に治療(X)、媒介因子(M)、アウトカム(Y)を使用して、どのように計算していくか、解説してきましたが、媒介因子(L)がもう1つあった場合にどうするべきか、ここで少し触れてみようと思います。
以下のような設定になります。

例えば、XからYへのdirect effect (LやMを介さない経路)を推定指定場合は、LやMを閉ざしてしまえば推定できます。

媒介因子が2つある場合のNatural Decompositionについて

これまで行ってきたCausal Mediation Analysisのようにnatural decompositionを行ってきた場合、考えられるdecompositionは以下の通りになります。

  • XからYへのdirect effect
  • Lを介したYへのindirect effect
  • Mのみを介したYへのindirect effect

の3つです。

それぞれの解説をする前に、LとMを入れたnested counterfactualについて補足しておきます。

今回はLとMがあるので少しややこしいですが、まずはMのみのケースを考えてみましょう。

治療(X), 媒介因子(M), アウトカム(Y)の3のnested counterfactualは、以下の通りでした。

YxMx= Y(x, Mx)

これまでは便宜上、左側を使ってきましたが、ここからは右側の記載方法で解説していきます。

このnested counterfactualにLを考慮すると、以下のようになります。

  • Y(x, Lx, M(x, Lx))

3つのパートに分かれてますが、シンプルに考えていけば理解できると思います。

例えば、

  • Y(x, Lx, M(x, Lx))

この赤で記した部分は、XがLやMを介さずにYに影響した効果です。

  • Y(x, Lx, M(x, Lx))

こちらは、XがLに影響し、Mを介した場合と、介さなかった場合の治療効果を足した値になります。

  • Y(x, Lx, M(x, Lx))

最後に、この赤はXがLを介さずにMに影響し、さらにMがYに与えた影響を計測しています。

これらの効果をaugmented DAGを使用しながら理解してみましょう。

1) LやMを介さないXの直接効果: Path-specific direct effects

 Y(x, Lx*, M(x*, Lx*)) – Y(x*, Lx*, M(x*, Lx*))

Do-formulaを使用してDAGを記載すると上のようになります。

赤色の経路は左右で異なるため、治療効果を計測できます。

一方で、青色の箇所は同じため、相殺されて消えてしまいます。

2) Lを介したXの効果: Path-specific indirect effect through  L

Y(x, Lx, M(x*, Lx)) – Y(x, Lx*, M(x*, Lx*))

3) Mを介し、Lを介さない効果:Path specific effect through  M

Y(x, Lx, M(x, Lx)) – Y(x, Lx, M(x*, Lx))

推定方法

LとMといった2つのmediatorがある場合も、基本は推定方法はこれまでのcausal mediation analysisとは変わりありません。

疫学手法としては、

  • G-formula
  • IPW
  • Sequential g-estimation with structural nested mean model
  • Path analysis (Linear SEM)
  • Simultaneous Mediator-Outcome Regression model

のいずれかを使用すれば良いでしょう。

g-formulaの場合

例えば上のDAGの場合のg-formulaを考えてみましょう。Cをblockすれば、backdoor-pathを閉じることができると仮定します。

g-formulaを使う場合、simulationの方法を使用して推定できます。手順として、

  • doXを割り当てる
  • P(L|X, C)を計測し、後にdo(x*)を代入しLをsimulaitonする(Lsim)
  • P(M|L, X, C)を計測し、do(x*)とLsimを代入し、Msimを作る
  • P(Y|X, L, M, C)を計測し、do(x*), simL, simMを代入し、Ysimを作る
  • YsimをdoXで推定する

になります。

実際にどのようにcodeを組むかは、またの機会にご紹介できればと思います。

まとめ

今回はmediatorが2つある場合のcausal mediation analysisについて解説してきました。

Mediatorが増えた場合、natural decompositionを行い、それぞれのmediatorを介する経路と、介さない経路を推定することができます。

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。