ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記のブログ〜

胃腸炎で吐いてますが、吐き気止めの薬って効かないのですか?

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  • 急に嘔吐をしてしまいました
  • 吐き気があるときにの対処法を教えてください
  • 吐き気止めの薬って効くんですか?
  • 「吐き気止めの薬を使って、胃を空っぽにして、吐き気が治まるのを待つのが一番」と言われました

など、吐き気・嘔吐や、吐き気止めにまつわる質問は非常に多いです。

今回は、これらの質問にまとめてお答えしてみようと思います。

 

 

「急性胃腸炎」=「おなかの風邪」

嘔吐・下痢・腹痛の原因は、急性胃腸炎がほとんどです。
腸炎とは、いわゆる「おなかの風邪」のことをいいます。

■ 胃腸炎は減ってますが、外来でもよく診ます

日本は適切な飲料水の供給や下水道設備のおかげで、衛生環境はとてもよくなっています。

途上国でみられる寄生虫や細菌による消化管の感染症は激減しており、日本は世界で有数の清潔な国です。

とはいえ、ウイルス性胃腸炎の患者数は多く、日常的に外来で診療します。
特に5歳未満の小児は胃腸炎にかかりやすく、

  •  『嘔吐しました』
  •  『下痢が治りません』

といって受診される方は毎日のようにいます。

■ 胃腸炎の症状 

腸炎で辛い症状は間違いなく『嘔吐』でしょう。
食事や水分を吐いてしまうと、栄養摂取が十分にできなくなります。

何より「吐く」という行為が、患者や家族の心理的な負担になります。

嘔吐や吐き気を軽快させようと、病院やクリニックで「吐き気止めのお薬」として処方されるのが「制吐剤」です。

今回は、この制吐剤について詳しく説明します。

代表的な制吐剤を説明します

クリニックで子供に処方される吐き気止めは、『ナウゼリン』や『プリンペラン』が一般的と思います。
これら吐き気止めの薬(制吐剤)について説明していきましょう。

 ■ ナウゼリンドンペリドン

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「吐き気止め」として「ナウゼリン®︎」が最もよく処方されてます。

ナウゼリン®︎ はあくまで薬の商品名でして、薬の一般名は「ドンペリドン」です。
粉薬、錠剤、坐薬と種類があり、患者さんのニーズに合わせて処方することができます。

ナウゼリン®︎ は、消化管や中枢神経にあるドーパミン受容体をブロックし、吐き気を抑える働きがあるといわれています。

■ プリンペラン®︎(メトクロプラミド)

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プリンペラン®︎ も吐き気止めとして、よく使用します。
吐き気止めとして、点滴に混ぜることこともあります。
プリンペラン®︎ は商品の名前で、薬の名前は「メトクロプラミド」です。

プリンペラン®︎ もナウゼリン®︎ と同様に、消化管と中枢神経のドーパミン受容体に作用して、吐き気を抑える効果があります。

吐き気止めって本当に効くの!?

 腸炎で嘔吐・下痢を訴えて吐き気止めの薬を処方されることは多いでしょう。
しかし、実際には、この薬の治療効果は非常に乏しいといわれています。

いくつかの臨床研究がされていますが

『(日本で小児に使用できる)制吐剤が有効であった』

と証明した研究は今のところありません。

つまり、制吐剤を飲んだり、点滴してもらったり、坐薬で使用しても、本当に吐き気を抑制して脱水を予防できるのかは、はっきり分かっていない、科学的根拠のない治療法です。

■ ナウゼリン®︎やプリンペラン®︎はガラパゴス化した薬!?

このため、ナウゼリン®︎ やプリンペラン®︎ などの制吐剤の有効性は、日本以外の外国では有効性が疑問視されて、そもそも使用していない国もあります。

例えば、英国やヨーロッパで出されている「急性胃腸炎の治療ガイドライン」では、これらの薬は治療の選択肢にすら入っていません。

日本を含む一部の国でしか使用されない「ガラパゴス化した薬」といっても過言ではないでしょう。

■ 吐き気止めには副作用がある

さらに吐き気止めには怖い副作用もあります。

例えば、錐体外路症状といわれる神経系の副作用がでることがあります。
錐体外路症状が出ると、手足が震えて動作がしづらくなったり、勝手に手がよじれてしまいます。

ですので、薬の有効性は乏しく、副作用があることを考えると、安易に処方され、気軽に使用するのは控えた方がよいかもしれません。

腸炎で嘔吐したときの対処法

▪️ 水分・塩分・糖分をしっかり摂るのが基本

脱水が重度でなければ、水分の経口摂取が基本的な治療になります。
ほとんどの胃腸炎経口補水液で対応可能で、点滴が必要になる子は、ごくわずかです。

▪️ 点滴に過度な期待をしないでください

たまに保護者の方から、水分摂取は可能で脱水症状の全くない子に

  • 「点滴をしてください」

とお願いされることがあります。

おそらく「点滴には何か元気になる薬が入っている」と考えての発言と推察してますが、点滴には経口補水液と同じ成分(水分、塩分、糖分)しか入っていません。

お子さんに痛い思いをさせて点滴するより水分摂取ができているなら、点滴をしないほうが子どもにとっても安心で、苦痛が少なく、安全な治療でしょう。

 

■ 水分摂取の方法

水分は、少量を頻回に飲ませるのが重要です。
何回も繰り返し飲ませるのは、とても労力はかかりますが、最も確実で安全な方法です。

吐いてしまったら30分ほど休憩して、ティースプーン1杯(約 5 ml)から再開して、5分〜10分おきに、徐々に飲む量を増やしていくと良いでしょう。

最近は、経口補水液の粉なども売っているようです。
急な体調不良(風邪や胃腸炎)や災害に備えてストックしておくと良いでしょう:
 

経口補水パウダーダブルエイド 10包

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 ■ どうしても制吐剤や点滴を希望する場合

どうしても制吐剤を使用して欲しい、点滴をして欲しい、と思う場合は、

  • 制吐剤は効かない可能性が高い
  • 制吐剤は神経系の重大な副作用がある
  • 点滴は経口補水液OS-1など)と成分は変わらない
  • 点滴はこどもにとって痛み・苦痛を大きく伴う処置

ということを、十分に理解をしたうえで治療を受けましょう。

本当に効く吐き気止めはないの!?

最近、注目されている制吐剤に「オンダセトロン(ゾフラン®︎)」という薬があります。
この薬は、抗がん剤の副作用として出る吐き気・嘔吐に使用されていました。

海外の研究結果ですが、急性胃腸炎の子どもの吐き気止めとして使用したところ、嘔吐回数や経口飲水量が改善した、という研究結果があります。

現に、アメリカなど一部の先進国では、救急外来などで制吐剤として使用されています。

大規模な研究が日本で行われ、薬のコスト面が改善されれば、胃腸炎の吐き気止めとして使用できる可能性が出てくるかもしれません。

 

◎ 子供が胃腸炎のときは、吐いたもの、下痢などは「次亜塩素酸」入った消毒液がオススメです。消毒というとアルコールが一般的ですが、一部の胃腸炎ウイルスにはアルコールは効かないため、次亜塩素酸入りの消毒液をオススメしています。

弱酸性次亜塩素酸水 除菌モーリス 400mL

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