科学的根拠

プロバイオティクスと亜鉛は小児の胃腸炎に有効か? イスラエル編

小児の下痢でよく使用されるプロバイオティクスですが、その種類も様々ですし、有効性も地域や胃腸炎の病原体、栄養状態によって有効性の結果が異なるケースがあります。

例えば、ロタウイルス胃腸炎であればプロバイオティクスは有効そうなイメージがあります。
一方で、亜鉛欠乏などがありそうな途上国では、ひょっとしたらプロバイオティクスを使用しても、思ったほど効かないというケースもありそうです。

そこで今回の研究です。

イスラエルの乳児の下痢にプロバイオティクスと亜鉛を使用して、どの程度有効かをみています。

研究の方法

今回のはイスラエルで2002年〜2003年に行われた二重盲検ランダム化比較試験です。

  •  6ヶ月〜12ヶ月
  •  軽度〜中等度の下痢
  •  下痢は1週間以内
  •  重症疾患なし、慢性疾患なし

などが対象となっています。

治療はシリアルに

  •  プロバイオティクス+亜鉛
  •  プラセボ

をランダムに追加しています。使用したプロバイオティクスは、

  •  Bifidobacterium lactis
  •  Streptococcus termophilus
  •  Lactobacillus acidophilus

の3種類を使用しています。アウトカムは、

  •  下痢の期間
  •  嘔吐の期間
  •  発熱の期間

などをみています。

研究の結果と考察

最終的に65人の患者が解析対象となりました。

  •  プロバイオティクス+亜鉛:33人
  •  コントロール:32人

の内訳です。

アウトカムについて

研究のアウトカムは以下の通りです:

プロバイオティクス
 + 亜鉛
あり
N = 33
なし
N = 32
P値
下痢の期間 1.34
(0.71)
1.97
(1.24)
0.017
嘔吐の期間 0.27
(0.59)
0.81
(0.91)
0.059
発熱の期間 0.44
(0.63)
0.75
(0.87)
0.45

プロバイオティクス+亜鉛を使用すると、下痢と嘔吐の期間は半日ほど短くなっています。発熱期間もやや短い印象ですが、やや不正確な推定です。

便の回数の推移は以下の表となります:

プロバイオティクス
+亜鉛
あり なし
0日目 5.7
(2.6)
5.0
(2.1)
3日目 2.6
(1.2)
2.9
(1.6)

治療グループで比較してみると、回数はそれほど変わらない印象ですね。

考察と感想

プロバイオティクスは、

  •  Bifidobacterium lactis
  •  Streptococcus termophilus
  •  Lactobacillus acidophilus

の3種類に、さらに亜鉛を追加して小児の下痢に使用しています。
下痢や嘔吐の期間を半日ほど短縮させる効果があるのかもしれないですね。

問題点としては、プロバイオティクスに相加・相乗効果があるか否かですね。
これを調べるには、少なくとも

  •  治療なし
  •  プロバイオティクスのみ
  •  亜鉛のみ
  •  両方

の4グループでの検証が必要となります。

まとめ

今回の研究は生後6ヶ月〜12ヶ月の乳児の下痢に対し、プロバイオティクスと亜鉛は下痢を半日ほど短縮させる効果がありそうでした。

プロバイオティクスが効いたのか、亜鉛が効いたのか、この2つの組み合わせでなければいけないのかは、追加検証が必要です。

ABOUT ME
Dr-KID
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。