科学的根拠

温かい飲み物やスープは、鼻水の粘稠度を下げるかもしれない [アメリカ 編]

  •  風邪をひいたら温かいものを飲ませてください
  •  鼻水が柔らかくなりますからね

などと外来で指導されることがあるかもしれません。確かに、温かい飲み物やスープは蒸気が鼻から入り、鼻づまりを解消してくれるかもしれません。

今回、この効果を検証した論文を発見しましたので、こちらで報告させていただきます。古いものですが、ご容赦ください。

参考文献

Saketkhoo K, et al. Effects of drinking hot water, cold water, and chicken soup on nasal mucus velocity and nasal airflow resistance.Chest. 1978 Oct;74(4):408-10.

研究の方法

今回の研究は、20-30代くらいの健常者を集めて行われた研究です。様々な種類の飲み物を飲んで、その後に鼻汁の排出速度や鼻腔の抵抗性を計測しています。

使用した飲み物 (200 ml)は、

  •  チキンスープ 65度をすする
  •  チキンスープ 65度をストローで
  •  65度のお湯をすする
  •  65度のお湯をストローで
  •  冷水をすする
  •  空気をストローで吸う (コントロール)

としています。

アウトカムは、鼻の粘液の速度(mm/ min)と鼻腔の通気性を検討しています。

研究の結果と考察

最終的に15人が研究に参加しました。アウトカムは以下の通りです。

鼻の粘液の速度

治療 0分 5分後 30分後
白湯
(すする)
6.2
(2.6)
8.4
(3.6)
6.2
(2.1)
白湯
(ストロー)
5.5
(2.0)
5.9
(2.9)
5.5
(2.0)
スープ
(すする)
6.9
(1.8)
9.2
(2.8)
5.9
(1.8)
スープ
(ストロー)
6.4
(2.4)
7.8
(4.3)
6.0
(2.4)
冷水
(すする)
7.3
(3.8)
5.3
(3.6)
4.5
(2.5)
空気
(ストロー)
6.1
(1.1)
5.7
(1.8)
5.6
(1.4)

鼻粘液の速度ですが、早い方がそれだけ鼻水が出やすくなって、鼻閉症状が改善されると考えられます。

  •  白湯をすする
  •  スープをすする
  •  スープをストローで飲む

あたりは、鼻汁粘液の速度が増加しており、間接的ですが鼻閉症状が改善されるのが示唆されています。

一方で、白湯をストローで飲んでも改善していませんし、冷水の場合はむしろ悪化している印象すらあります。

鼻腔の気道抵抗について

鼻腔の気道抵抗についても計測しています(cm H20 per L x Second)。

治療 0分 5分後 30分後
白湯
(すする)
1.5
(0.4)
1.7
(0.6)
1.8
(0.8)
白湯
(ストロー)
1.5
(0.3)
1.5
(0.4)
1.7
(0.5)
スープ
(すする)
1.5
(0.4)
1.4
(0.3)
1.9
(0.7)
スープ
(ストロー)
1.5
(0.4)
1.6
(0.5)
1.8
(0.5)
冷水
(すする)
1.4
(0.4)
1.5
(0.4)
1.7
(0.5)
空気
(ストロー)
1.6
(0.4)
1.6
(0.4)
1.6
(0.3)

鼻腔の気道抵抗については、どの飲料を使用してもほとんど変化がありませんでした。

考察と感想

「風邪をひいたら、温かい飲み物を」は鼻汁の粘稠度が下がり、排泄しやすくなるのかもしれないですね。一方で、実際の鼻の通りにはあまり影響はしなさそうな印象です。
飲んでしばらくしたら、鼻をかんだり、吸ったりしても良いでしょう。

問題点としては、これらを乳幼児で使用できるかどうかです。「すする」という行為はなかなか上手にできない乳幼児がほとんどではないでしょうか。あと65度の飲料・スープをどこまで冷ますかという問題もあります。冷まさないと、当然ですが場合によってはやけどしてしまいます。

あと、この研究結果をもとに「温かい蒸気を吸わせれば?」と考えたくなりますが、こちらは基本的にオススメしません。温かい蒸気を吸わせると、その温度にもよりますが、気道熱傷のリスクになります。現に1980年代にアメリカで温かい蒸気を吸わせてやけどを負った症例の報告があるようです。

成人で行われた研究ですので、小児への一般化を考えるときは色々と配慮が必要そうですね。

まとめ

今回の研究では、温かい飲み物をすすると、しばらくは鼻汁が出やすくなる印象でしたが30分後には飲む前のレベルに戻っています。また、鼻腔内の気道抵抗にはあまり影響がなさそうでした。

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。