科学的根拠

プロバイオティクスは、乳幼児の2週間以上持続する下痢に有効か? アルゼンチン編

  •  下痢が長引いている時に、プロバイオティクスが有効か分からない

これまでの研究は、比較的、下痢が始まって早期にプロバイオティクスを使用したものが多かったです。
ほとんどが、下痢が出て2ー3日以内の小児を対象にしています。

一方で、下痢が長期化した場合、プロバイオティクスが有益かどうか研究したものは少ないです。このため、今回の研究が行われたようです。

研究の方法

今回の研究は、1996年〜1998年にかけてアルゼンチンで行われたランダム化比較試験になります。対象となった患者は、

  •  生後6〜24ヶ月
  •  14日以上にわたり、1日3回以上の下痢がある
  •  入院が必要であった
  •  母乳栄養でない
  •  慢性疾患なし
  •  重症疾患なし

などを考慮されています。治療は、

  •  低温殺菌牛乳
  •  低温殺菌牛乳 + 凍結させたS. boulardii
  •  低温殺菌牛乳 + 凍結させたL. caseiとL. acidophillus sp

が入っています。治療は1日2回投与となっています。

Dr.KID
Dr.KID
6〜12ヶ月時に牛乳投与は現代からするとちょっとびっくりですね。(12ヶ月以下の牛乳投与は推奨されていません。

アウトカムは、

  •  下痢の回数
  •   5日後に下痢が改善しない割合
  •  治療後の下痢の期間

などです。

研究結果と考察

最終的に89人が解析対象となり、

  •  牛乳飲み:29人
  •  牛乳 + S. boulardii:30人
  •  牛乳 + L. caseiとL. acidophillus sp:30人

でした。平均月齢は12ヶ月ほど、やや男児が多く、入院前の下痢の期間は23日ほどが平均でした。

下痢の回数について

下痢の回数の推移を見たグラフは以下の通りになります(論文より抜粋):

見ての通りですが、プロバイオティクスを入れたグループの方が、速やかに下痢の回数が減少しています。

特に、Lactobacillusの方が、最初の数日は効果が強そうな印象です。

下痢の平均回数をまとめたグラフは以下の通りになります(論文より抜粋):

こちらも結果は同じでして、プロバイオティクスを使用した方が下痢の回数は3−4回ほど減少しているのがわかります。

ロタウイルスの有無はあまり関係なさそうですね。

そのほかのアウトカムについて

そのほかのアウトカムをまとめてみましょう:

プロバイオティクス なし S L
下痢の期間 8.5
(4.2)
3.8
(1.5)
3.7
(1.7)
5日以内に改善なし 90% 17% 10%

 

考察と感想

なかなか面白い結果でしたね。これまでの研究は下痢が始まってすぐにプロバイオティクスを始めたものが多いので、意外と盲点になっていたと思います。

こちらの研究ではプロバイオティクスを使用した方が、明らかに便は改善していそうですね。

問題点としては、まずは牛乳を使用している点でしょうか。
こちらの記事にも書きましたが、1歳未満のお子さんは牛乳を大量に飲むと貧血の原因になり得るので、あまりオススメしていません。

【論文】1歳未満の乳児に牛乳を多く飲ませると、鉄分不足による貧血になります【牛乳と鉄欠乏】『牛乳を飲ませるのは1歳すぎてからにしましょう』と外来で指導されることがあると思います。 『なんで1歳まで牛乳を飲ませたらダメなの?』...

1990年代ですので、仕方ない面もありますが、現代版に治療方針が即しているかは、考える必要があると言えます。

まとめ

今回の研究では、プロバイオティクスは、14日以上持続する小児の下痢にも有効そうな印象でした。

下痢の期間が3−4日ほど短くなり、回数も1日あたり3−4回ほど少なくなる印象です。

 

ABOUT ME
Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。