科学的根拠

市販のかぜ薬の成分のグアイフェネシンはいつ認可され、有効性はある?

グアイフェネシン(guaifenesin)は、1952年に米国のFDAにより正式に承認されるなど、長い歴史のある薬です。

グアイフェネシンは、市販の咳止め薬および風邪薬の成分に含まれており、現在も広く入手可能な薬です。例えば、こどもかぜシロップでは、

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グアイフェネシンは湿性咳を促進すると主に信じられていますが、薬剤が確実に咳を軽減できるかどうかは知られていない。それにもかかわらず、

実は成人・小児の市販薬に含まれていることが多々あります。例えば、こどもかぜシロップでは、

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(*推奨ではありません)

今回は、この成分が実際に風邪において有効かを検討した研究をご紹介してみようと思います。

マミー
マミー
こどもの風邪の市販薬の成分を見たら「グアイフェネシン」ってありましたが、これは効果があるのでしょうか?

ユーキ先生
ユーキ先生
痰の粘稠性を下げて、咳で排出しやすくする効果があると言われているようです。でも、小児での研究数はほとんどないようです。。

Dr.KID
Dr.KID
ひとまず成人の論文を検索してみてみましょう。

 

ポイント

  • アメリカの12歳以上の急性呼吸器感染症において、グアイフェネシンの有効性を検討
  • グアイフェネシンは痰の症状がやや軽快するかもしれないが、風邪症状の全体の満足度は改善させなかった

   お薬検索というサイトで「グアイフェネシン」と入力すると、44種類の市販薬が出てきました。

 

市販のかぜ薬の成分によくあるグアイフェネシンは、いつ認可され、有効性はあるのか?

研究の背景

若年成人の急性呼吸器疾患において、グアイフェネシンが咳頻度の減少に有効性があるか、客観的な咳計数システムとアンケートの両方により評価した。

研究の方法

18〜30歳(ほとんどが大学生)を対象に研究が行われています。

48時間以内の感冒症状が研究の参加条件でした。

治療

二重盲検ランダム化比較試験が行われ、42人の対象患者に

  • グアイフェネシン
  • 賦形剤(プラセボ)

のいずれかを6時間毎に内服しています。

Dr.KID
Dr.KID
“the vehicle”に賦形剤という意味があるのは知らなかったです。医薬品も成形の向上や服用を便利にするために加える添加剤。 錠剤では、乳糖やデンプンがよく用いられているようです。 今回はプラセボという意味のようです。

アウトカム

アウトカムは、

  • 毎日の咳と痰の頻度の記録(テープ)

を毎日評価しています。評価は、連日、同じ6時間の範囲で行われた。

対象患者は静かな個室に60時間隔離されて行われたようです。また、最初の24時間は、咳のベースラインを確認する期間に当てられています。

研究の結果

グアイフェネシンの鎮咳効果は認められなかった。

痰の厚さにおいてはグアイフェネシンの有効性が認められた。改善を実感した割合は、以下の通りである:

  •  グアイフェネシン: 25/26 (96%)
  •  プラセボ:13/24 (54%)

また、痰の量においても、グアイフェネシンの方が改善する傾向であった:

  •  グアイフェネシン: 23/26 (88%)
  •  プラセボ:15/24 (62.5%)

研究の結論

本研究では、客観的な指標を用いてアウトカムを測定したが、若年成人の急性呼吸器疾患において、グアイフェネシンの鎮咳作用を示すことができなかった。

考察と感想

以下の点について解説してみようと思います

  1.  グアイフェネシンの有効性の評価
  2.  去痰薬などの有効性を評価するため、アウトカムの指標の妥当性を検証する

です。

グアイフェネシンは感冒症状に有効だったのか?

アブストラクトには「有効性はなかった」と記載されていますが、実際のデータはどうでしょうか。論文には個人レベルのデータが記載されていたので、そちらを拝借して、グラフを作成してみました。

ほとんど同じようなトレンドにあるのがわかりますね。この対象者は、日中に咳が多く夕方からは軽快する傾向にあったようです。

痰の量や質に関してはどうでしょうか:

  グアイフェネシン プラセボ
   
 頻度 33/33
(100%)
30/32
(94%)
 重症度 33/33
(100%)
29/32
(91%)
 不快感 29/32
(91%)
29/32
(91%)
胸の不快感 28/31
(90%)
21/29
(72%)
痰の量 23/26
(88%)
15/24
(62.5%)
痰の厚さ 25/26
(96%)
13/24
(54%)
 

感想

よくデザインされた研究と思いました。

咳の評価として患者の主観によるところが多いですが、この研究では個室に隔離して実際の咳の頻度を機械で測定しています。かなり手間のかかる研究であったと思います。

また、この機械で測定した結果と、本人の自己評価の一致も見ていて、かねがね同じ傾向を示したようです。

Dr.KID
Dr.KID
今後の研究でも活かせる内容ですね。

FDAは2007年3月1日に、「鎮咳薬、去痰薬、鼻閉改善薬、抗ヒスタミン剤などが6歳未満の小児において安全で有効とは知られていない」ということを公衆に通知するよう要請されたようです。

FDAと大手メーカーとの交渉の後、2008年に、4歳未満の小児にグアイフェネシンを使用しないよう、自主的に表示することが承認されたようです。

Dr.KID
Dr.KID
何か大きなイベントがあったというより「小児への風邪薬を控える」という時代の流れのようですね。

まとめ

今回は、アメリカの18-30歳の急性呼吸器感染症において、グアイフェネシンの有効性を検討しています。

グアイフェネシンを使用しても咳は改善しなかったようです。一方で、痰の性状に関しては改善が実感される方がやや多かったようです。

 

 

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

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Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。