小児科

ワクチン後に解熱薬を使っても抗体(免疫)は獲得できるでしょう

ワクチン摂取後に発熱することがあります

ワクチン摂取後に発熱してしまうことがあります。
ほとんどは1日以内に発熱して、熱は長引かないことが多いです。

発熱しやすいワクチンもあり;

  • 肺炎球菌ワクチン
  • インフルエンザワクチン
  • 四種混合ワクチン

などが特に発熱しやすいと言われています。

ワクチン摂取後に解熱薬を使用するメリット

熱が出れば乳幼児は不機嫌になりますし、食欲は下がり、眠りは浅くなるかもしれません。

科学的な根拠はありませんが、解熱薬を使用して発熱を予防することで、熱に伴う苦痛を和らげることができるかもしれません。

解熱薬を使用すると、免疫がつかなくなる?

『発熱は体がワクチンに反応しているから起こっています。解熱薬を使用すると、こどもの免疫反応が弱まるため、ワクチンの効果が弱まります(=抗体がつかなくなる)』と発言する小児科医も時々います。

一見、もっともらしい発言ですが、この発言には十分な科学的根拠がありません。

Dr.KID
Dr.KID
理屈が正しそうでも、実臨床から得たデータと一致しないことはよくあります。

研究の目的

今回、私がピックアップした研究では、ワクチン後に解熱薬を使用すると

  • 抗体(免疫)の獲得率に影響するか
  • ワクチン後の症状(発熱、不機嫌、食欲低下、睡眠不良)を予防できるか

という2点をみています。

研究の方法

生後6ヶ月〜47ヶ月の乳幼児を対象に、ランダム化比較研究(RCT)が行われました。

  1. インフルエンザワクチンを接種
  2. すぐに解熱薬(アセトアミノフェンかイブプロフェン)を使用
    *コントロール群には偽薬(プラセボ)を使用
  3. その後は4〜8時間毎に解熱薬を24時間使用
  4. 接種後2日間の発熱、不機嫌、睡眠不良、食欲低下を評価
  5. 接種後4週間後の抗体変化率を確認

の手順で行われています。

ランダム化では3群に分けられ:

  1. アセトアミノフェン群(59例)
  2. イブプロフェン群(24例)
  3. プラセボ群(59例)

となっています。

研究の結果

解熱薬を使用しても、抗体獲得率は変わりません

解熱薬(アセトアミノフェン or イブプロフェン)を使用した場合;

  • インフルエンザA型の抗体陽転化:50〜100%
  • インフルエンザB型の抗体陽転化:15〜44%

でした。

一方、解熱薬を使用しない群(プラセボ群)は:

  • インフルエンザA型の抗体陽転化:60〜100%
  • インフルエンザB型の抗体陽転化:9〜32%

という結果でした。

両者に統計学的な有意差はありません。

機嫌・食欲・睡眠は変化なし

ワクチン接種後は、なんとなく機嫌が悪くなる乳幼児は多いですが、

  • 機嫌不良
  • 食欲低下
  • 睡眠

の3つの項目において、解熱剤を使用した群もプラセボ群も統計学的な差はありませんでした。

発熱に関しては評価困難

今回の研究では発熱は数例しか認めておらず、評価困難でした。
また、発熱に伴う熱性けいれんについても同様に、十分な評価ができていません。

一般化はやや慎重に

今回の研究はインフルエンザワクチンのみを対象にしているため、他のワクチンの時に解熱薬を使用したら、どのような結果になるかは分かりません。

まとめ

今回の研究から、インフルエンザワクチン後に解熱薬を使用しても、抗体の獲得率は変わらないことがわかりました。

インフルエンザワクチン以外でも、同様の研究が他のワクチンでも行われることが期待されます。

Dr.KID
Dr.KID
ひとまず「ワクチン後の解熱剤はNG」とステレオタイプに考えるのは、よくなさそうですね。

関連記事:解熱薬について、よくある質問

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ABOUT ME
Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。