Cancer Epidemiology (がんの疫学)

Cancer Epidemiology (がんの疫学)(14)| タバコとNCD (non-communicable disease)について

喫煙は発がんの危険因子であることはよく知られていますが、COPDなどの慢性疾患や精神疾患のリスクも上昇させます。

タバコを含む生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて「非感染性疾患(Non-communucable disease[NCDs])」と呼びますが、近年は多数の研究が行われてきたのもあり、タバコが様々な疾患と関連しているのがわかってきました。

今回は「がんの疫学(Cancer Epidemiology)」という背景で、簡単にタバコとNCDについて説明していけたらと思います。

 

喫煙と死亡者数

肺癌、心疾患など喫煙に関連した死亡者数は、全世界で800万人以上と推定されています。そのうち、喫煙が直接の原因となっているのは700万人以上、受動喫煙による死亡者数は120万人と考えられています。

心疾患、脳卒中、慢性肺疾患、肺癌などの原因の一部〜半数くらいがタバコと考えられています。

国 x 男女別にみた場合

こちらは男性におけるタバコ関連死亡率を国別にみた図です。
ロシア、東ヨーロッパ、韓国などでタバコ関連死亡率が高いのが分かります。

男性においては、全死亡者数のうち16%がタバコによると推定されています。

こちらは女性におけるデータになります。

女性においては、全死亡者数のうち7%がタバコが原因と考えられています。

男性よりややマイルドなデータですが、中国、北米、オーストラリア、ヨーロッパの一部が高そうな印象ですね。

アメリカにおける喫煙と死亡について

CDCから喫煙と死亡におけるデータが多数出ているので、少し参考程度に見てみましょう。

アメリカにおいては、総死亡数のうち1/5は喫煙が関連していると考えられているようです。その数は約48万人で、このうち男性が約28万人、女性が20万人になります。

慢性疾患との絡むですが、

  •  肺癌による総死亡の90%
  •  COPDによる総死亡の80%

が喫煙に関連して生じていると考えられているようです。

喫煙による死亡者数の内訳

喫煙による死亡者数の内訳を表にしてみました

原因 %
全て 48万 100%
肺癌 13.8万 29%
COPD 10.1万 21%
心疾患 15.9万 33%
他のがん 3.6万 7%
脳卒中 1.5万 3%
その他 3.2万 7%

 

喫煙とpremature deathについて

“premature death”は早死を意味しますが、平均寿命に到達する前に死亡してしまうことを言います。

例えば、非喫煙者と比較して、喫煙者は平均寿命が10年ほど短いとも言われています。


(Jha et al. 2013. Massachusetts Medical Society (2013))

赤色は非喫煙者、青色は喫煙者になります。Y軸は生存している確率、X軸は年齢をみています。

例えば女性で非喫煙者が80歳時点で生存している可能性は70%です。一方で、喫煙者の場合は38%と低くなっています。非喫煙者で70%生存している年齢は69歳で、11年もの差があるのが分かります。

男性に関しては同様の計算で、喫煙者と非喫煙者で12年ほどの開きがあると考えられています。

喫煙をやめた時期と相対死亡リスクについて

こちらは非喫煙者を1として、過去にタバコをやめた時期と65歳時点の死亡率のリスク比を見ています。

例えば、非喫煙者と29歳で喫煙をやめた人では、65歳時点の死亡率のリスクは1.8倍ほど異なります。

49歳でやめた人は5.9倍、喫煙をやめられなかった人は24倍高いのが分かります。

おまけ:タバコの種類について

喫煙関連の文献を読むと、日本ではあまり使用されていないタバコが使用されていることがあります。今回は簡単に解説できればと思います。

Cigarette

Cugaretteはタバコ製品の96%を占めており、こちらが大半です。

Cigar

Cigarというのもあります。Cigaretteより太めのいかつい製品です。

見た目通りですが、発がん性物質もcigaretteより多いと考えられています。

Pipe

Pipeもあります。今では、東南アジアなどで中心に使用されているようです。

Bids

Bidsはあまり聞き慣れないかもしれませんが、南アジアでよく使用されているようです。

Cigaretteと比較して、BidsはタールやCOが多いようです。

RYO cigarettes

RYOはRoll-your-ownの略ですが、自分で巻くタイプのタバコです。

欧州やニュージーランドで使用されていることがあるようです。

Kreteks

Kreteksはインドネシアを中心に使用されているようです。

Sticks

Sticksはパプア・ニューギニアでよく使用されるタバコのようです。

Chewing tobacco

煙のないタバコ(smokeless tobacco)の1つです。

全世界で使用されているようですが、インドなどで昔から使用されていたようです。

Moist snuff

Moist snuffは、パウダー状のタバコで、鼻腔から吸入したりするようです。

Dissolvable smokeless tobacco

近年、高所得国で使用されるようになってきたタバコ製品です。

製品別に見た使用量

よく見かけるcigaretteは、実は1920年代くらいから徐々に増えてきて、それ以降はトップに君臨しています。

それまでは、chewingやcigarsが多かったようですね。

1800年代中盤に、cigaretteを製造する機械ができたのが大きく影響したようです。

 

おわりに

今回はタバコと死亡について少し詳しく説明してきました。

次回は、発がん物質としてのタバコという視点で解説できればと思います。

 

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。