Cancer Epidemiology (がんの疫学)

Cancer Epidemiology (がんの疫学)① | 世界のトレンドを知る [2019年度版]

悪性腫瘍などを始めとした慢性疾患は、non-communucable disease (NCD)と呼ばれることがあります。

WHOの定義によると、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて「非感染性疾患(NCD)」と位置付けています。

医療者であっても国際保健などとの関わりがなければ、NCDsによる死亡者数が、どのくらい世界で生じているか、あまりご存じでない方も多いのではないでしょうか。

世界のNCDによる死亡

2016年のデータになりますが、以下の通りです。(以降のデータはGLOBCAN2018を参照)

疾患 死亡者数    
全て 5690万    
NCDs 4050万 割合
(/全て)
割合
(/4050)
#1 心疾患 1786万 31.4% 44%
#2 悪性腫瘍 897万 15.8% 22.1%
#3 肺疾患 304万 6.5% 7.5%
#4 糖尿病 240万 5.8% 5.9%
#5 認知症 238万 4.4% 5.9%

数が大きすぎて想像しづらいですが、

  •  2秒に1人がNCDによって、30-70歳の人が早死(premature death)しており

という換算です。

これ以外にも、注目すべき疾患は多数ありますが、

  •  感染症の死亡者数は全体の10%
  •  毎年80万人が自殺している

というデータもあります。

世界の死亡統計

一旦、NCDsから離れて、世界の死亡統計のベスト3を見ていきましょう。

ランク 疾患 %
#1 心疾患 31%
(1800万)
#2 悪性腫瘍 16%
(900万)
#3 感染症 10%
(550万)

世界の死亡統計のトップ3は、心疾患、悪性腫瘍、感染症の順番です。

国の所得別にみた死亡統計

国の所得によって4つの地域に分けると、以下のようになります。

所得 #1 #2 #3
低所得 感染症
(29%)
(240万)
心疾患
(10%)
(180万)
新生児
(11%)
(90万)
中所得 心疾患
(28%)
(520万)
感染症
(13%)
(240万)
悪性腫瘍
(10%)
(180万)
高所得 心疾患
(41%)
(690万)
悪性腫瘍
(20%)
(350万)
呼吸器
(7%)
(130万)
超高所得 心疾患
(35%)
(440万)
悪性腫瘍
(25%)
(440万)
神経
(8%)
(100万)

低所得国ではいまだに感染症や新生児死亡が死因として最も多いのが特徴的です。

国の所得が上昇するにつれ、徐々に悪性腫瘍の順位は上がっていきます。

悪性腫瘍の疫学

悪性腫瘍の疫学についても見ていきましょう。

がんの新規発症数について

年間で1810万人ほどが新規に発症しています。全体としては以下の通りです。

ランク 部位 %(N)
#1 肺癌 11.6% (210万)
#2 乳癌 11.6% (210万)
#3 結腸・直腸癌 10.2% (180万)
#4 前立腺癌 7.1% (130万)
#5 直腸癌 5.7% (100万)

こちらは新規発症数の統計になりますが、肺癌が最も多く、乳癌、大腸・結腸癌の順です。

男女別に見てみましょう。

ランク 男 (880万) %(N) 女 (820万) %(N)
#1 肺癌 14.5%
(140万)
乳癌 24.2%
(210万)
#2 前立腺癌 13.5%
(130万)
結腸・直腸癌 9.5%
(80万)
#3 結腸・直腸癌 10.9%
(100万)
肺癌 8.4%
(70万)
#4 胃癌 7.2%
(70万)
子宮癌 6.6%
(60万)
#5 肝臓癌 6.3%
(60万)
甲状腺癌 5.1%
(40万)

男性は肺癌、女性は乳癌の新規発症が最も多いです。

がんの死亡者数について

がんの死亡者数のランキングは以下の通りです。

ランク 部位 %(N)
#1 肺癌 18.4% (170万)
#2 結腸・直腸癌 9.2% (88万)
#3 胃癌 8.2% (78万)
#4 肝臓癌 8.2% (78万)
#5 乳癌 6.6% (63万)

がんによる死亡者数は世界では960万人と推定されています。発症率と同じく、肺癌が第一位となっています。

個人的には肝臓癌が第4位に入っているのが意外でした。

ランク 男 (880万) %(N) 女 (820万) %(N)
#1 肺癌 22%
(120万)
乳癌 15%
(63万)
#2 肝臓癌 10.2%
(55万)
肺癌 13.8%
(58万)
#3 胃癌 9.5%
(51万)
結腸・直腸癌 9.5%
(40万)
#4 結腸・直腸癌 9.0%
(48万)
子宮癌 7.5%
(31万)
#5 前立腺癌 6.7%
(36万)
胃癌 6.5%
(27万)

男性は肺癌、女性は乳癌ががんによる死因として最も多かったです。
男性の第2位に肝臓癌が来ています。

まとめ

今回は、がんにまつわる疫学・統計について簡単に解説してきました。
この情報は2018-19年あたりのデータで最新のものですが、ブログ執筆から期間が過ぎるほど古くなる点はご留意ください。

GLOBCANなどで統計は簡単に調べられるため、気になる方はリサーチしてみると良いでしょう。

 

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Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。