ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜

小児科医が解説するRSウイルス

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RSウイルスって何ですか?

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『RSウイルス』はどこかで聞いた、という方が多いのではないでしょうか。
RSの言葉の由来ですが、RSは『Respiratpry Syncytial』 の略で:

  • "Respiratory" は呼吸器
  • "Syncytial"は合胞体

という意味で、この頭文字をとってRSと読んでいます。
RSウイルスを日本語に意訳すると、『呼吸器つまり空気の通り道に感染するウイルス』です。

RSウイルス感染の特徴

RSウイルス感染症は、乳幼児の風邪や気管支炎・肺炎といった呼吸器感染症の原因ウイルスです。

■ 冬に流行しますが、夏に流行ることもあります

冬期に流行することが多いです。
ですが、近年は夏期でも流行が多数報告されており、外来・入院患者は1年を通しています。

■ RSウイルスは2歳までに感染します

RSウイルス感染は、1歳で50%〜70%、2歳でほぼ100%が感染します。
インフルエンザみたいに、RSウイルスもA型とB型がありますが、現在使用している迅速検査ではA型、B型の区別はできません。

RSウイルスに感染した時の症状

huh... huh...

RSウイルスの症状は軽い風邪症状から重い呼吸器症状まで、とても幅広いです。

■ 風邪の症状で終わることがほとんどです

RSウイルスは、咳・鼻水・くしゃみ、といった風邪の症状がでます。
特に最初は風邪との見分けもつかないことがほとんどです。
ほとんどのお子さんは、この風邪症状で軽快してしまうので、大きな心配はいらないことが多いです。

『RSウイルスが流行していて怖いです』

と相談されることもよくありますが、基本はただの風邪で終わりますので、特別に恐れる必要はありません。

■ 悪化すると細気管支炎や肺炎になります

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RSウイルスに感染して、3日〜7日程度すると、一部の子どもで喘鳴がでます。
喘鳴とは「ヒューヒュー・ゼーゼー」といった音が、呼吸する度に聞こえる状態です

さらに呼吸の症状がひどくなると、陥没呼吸,努力呼吸といって、苦しそうな呼吸をします。
この場合、入院が必要になることがあります。

■ RSウイルスが細気管支炎や肺炎になりやすい理由

RSウイルスは、比較的狭い空気の通り道(細気管支)を好んで感染し、ここにある上皮細胞を破壊します。
このため、空気の通り道が浮腫んだり、炎症を起こしたり、痰が排出しづらくなります。
結果として、空気の通り道が狭くなり、喘鳴を起こしてしまうのです。

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RSウイルスの感染経路

RSウイルスは咳や痰などの飛沫および接触で感染します。
感染してから病気が発症するまでの潜伏期間は、4日〜6日です。

さらに、RSウイルス感染の症状がでてから、2週間程度はウイルスを排出しています。

RSウイルスの検査

RSウイルスの検査は、迅速検査とPCR検査の2種類があります。

■ RSウイルス抗原の迅速検査

鼻の分泌物からウイルスの抗原を検出して診断するキットです。
この検査はインフルエンザの迅速検査とやり方は同じです。
検査結果は15分程度で判明するので、クリニックでもよく利用されていると思います。

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保険適応となるのは『1歳未満で入院治療が必要な小児』のみです。

『保育園の先生にRSウイルスにかかっていないか、小児科にいって検査をしてきてください』
と、検査を希望されて、1度に何人も受診することがあります。

検査には保険適応があり、元気な咳や鼻水があっても元気なお子さんには検査は不要ですから、注意してくださいね。
(どうしても見たい場合、自費で検査を受けてもらうこともあります。大体、3000〜5000円くらいで診てくれるところが多いようです)

 ■ PCR検査

PCR検査は、鼻水に含まれるRSウイルスの遺伝子を、特殊な機械と溶液を使用して増幅させる検査です。
迅速検査よりもはるかに正確な検査ですが、行える施設はかなり限られています。

RSウイルスの治療

治療法ですが『インフルエンザにはタミフル』のような特効薬はありません。
ですので、適切な水分摂取,解熱薬,吸入などでの対症療法を行いながら様子をみます。

■ 吸入薬について

病院でよくされている治療法として、吸入薬があります。
吸入薬もいろいろ種類がありますが、有効性をまとめると以下の通りです:

  • β2刺激薬(メプチン・ベネトリン):有効性なし
  • エピネフリン吸入(ボスミン):有効なこともある
  • ステロイド吸入(パルミコート):有効性なし
  • 濃い生理食塩水吸入(3%食塩水):有用性あり

です。

『日本国内でも、生理食塩水の吸入を臨床試験している』という情報を5年ほど前に聞き、密かに結果を楽しみにしていましたが、今のところ正式な結果論文をみていません。

重症化しやすい子供

RSウイルスに感染して重症化しやすいこどもは一定の傾向があり:

  • 低年齢(特に3ヶ月未満)
  • 心疾患 ・慢性肺疾患
  • 早産児
  • 遺伝疾患(ダウン症など)

がいわれています。
特に、生後6週未満では無呼吸を起こすことがあるため、非常に注意が必要です。

予防の薬に関して

RSウイルスの予防薬として、シナジス(一般名:Palivixumab)という薬があります。
RSウイルス特異的モノクローナル抗体といい、RSウイルスに感染しないように体に防御を作ってくれる薬です。

シナジスの適応は:

  • 2歳以下である
  • 慢性肺疾患, 先天性心疾患,ダウン症など

を満たす場合に対象となります。
非常に高額な薬品であるため,重症化しやすいお子さんに限定して使用しています。

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◎ RSウイルスは鼻水・痰などの分泌物が増えます。クリニックだけでなく自宅でも鼻をすってあげるとよいでしょう。

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