書評

【書評】やさしい予防接種BOOK(著者:宮原篤・森戸やすみ先生)

小児科専門医である森戸やすみ先生と宮原篤先生が、保護者の方々向けに「分かりやすく」ワクチンについて書かれた本です。

いろんな公的機関にワクチンの情報は沢山掲載されていますが、一般の方々からするとアクセスしづらい、見づらい、分かりづらいようなサイトもあります。

今回は、臨床を長らくされて、多くの保護者と接している小児科の先生お二人が、保護者の方々向けに執筆した本です。実臨床でよく保護者の方々から受ける質問に、よくお答えしている本と思います。

今、麻疹などの危険な感染症が世界規模で流行中です。そんな中、「予防接種は必ず受けるべき」「予防接種は受けなくていい」「予防接種をしないと感染症になる」「予防接種をすると副反応が起こる」といった様々な説が広まっているので、不安になる保護者も多いでしょう。そこで、小児科専門医が、ワクチンとは何か、どう考えるべきかについてとことん優しい語り口で、易しくお教えします!

(内容紹介)

とことん優しくて易しい!
根拠のあるワクチンの本

近年、ワクチンに関する不正確な情報が広まったために、
世界中で予防接種率が低下し、麻疹や風疹などの感染症が流行し、脅威となっています。
子どもたちの健康を守るため、今こそ根拠のある正確な知識が必要です!

ワクチンの仕組みは難しく、よくわからないものは怖く感じられて当然ですから、
専門家でなくてもわかる「易しい」説明が必要でしょう。
それに何よりも大切な子どもに接種させるものに慎重になるのは当然ですから、
気持ちに寄り添う「優しい」説明が必要でしょう。

そこで、ワクチンとは何か、どんな成分が入っているのか、
どんな病気を予防できるのか、どんなメリットとデメリットがあるかなどについて、
2人の小児科専門医ができる限り「やさしく」お伝えする本を作りました。

予防接種/ワクチンに疑問や不安を持っている保護者の方はもちろん、
詳しく知りたい保護者の方、また保護者からの質問や相談を受けつける立場の
医療および子育て支援の専門家にもお読みいただきたい1冊です。
きっと疑問や不安を減らすことができるだろうと思います。

(Amazonより)

 

第1章 予防接種の誕生と歴史

Q1 予防接種はどうして生まれたの?
Q2 日本での予防接種の始まりは?
Q3 予防接種を進めるうえで問題はなかったの?
Q4 学校で集団接種をしなくなったのはなぜ?
Q5 予防接種で根絶できた感染症はある?

第1章は主に予防接種の誕生と歴史について書かれていました。歴史については、世界と日本で分けて解説してあり、非常に面白かったです。

小児科医でも、この辺りの歴史は詳しい人の方が少数派なのではないでしょうか。少なくとも私は「知らなかった〜」と思う内容が多く、とても勉強になりました。

内容自体も、すごく難しいわけではないので、保護者の方々が読んでも興味深いと思います。人類がいかに感染症と戦ってきたのかが理解できると思います。

第2章 ワクチンの種類と成分と仕組み

Q1 ワクチンには、どんな種類がある?
Q2 それぞれのワクチンは、どんな感染症を防ぐの?
Q3 ワクチンは、どこで作られているの?
Q4 ワクチンは、どうやって作られているの?
Q5 ワクチンには、どんな成分が含まれている?
Q6 ワクチンが感染症を予防するのはなぜ?
Q7 ワクチンより自然感染のほうがいいのでは?
Q8 接種したい人だけがしたらいいと思うのですが
Q9 ワクチンの効果はどうしたら確かめられる?
Q10 ワクチンを接種するメリット、デメリットを教えて

「〇〇ワクチンを打ちましょう」と言うキャッチフレーズはよく見かけますが、ワクチンで予防している疾患の全体像を把握するのは、子育てや仕事に忙しい保護者からするとなかなか困難です。この章ではワクチンで予防できる疾患について、簡単に解説されています。

また、ワクチンの製造過程や成分など、小児科外来でよく質問される内容について、こちらで分かりやすくお答えしていました。

第3章

Q1 副反応ってどういうものなの?
Q2 副反応が怖くてワクチンを打てません
Q3 なぜ周囲にない感染症のワクチンが必要なの?
Q4 ワクチンの接種は遅らせたり早めたりしたらダメ?
Q5 予防接種の効果っていつまで続くの?
Q6 自閉症の原因になると聞いて不安です
Q7 アレルギーがあるから心配です
Q8 ワクチンは医師とメーカーのためにあると聞きました
Q9 ワクチンは不要だと言う人がいるのはどうして?
Q10 予防接種のこと、どうやって調べるべき?

こちらの章では、ワクチンの有効性や副反応、有害事象のことが記載されています。

  •  副反応と有害事象の違い
  •  有効性の持続する期間
  •  かつて問題となった事件(ウェイクフィールド)

など、医療者であれば知らなければいけない内容がよく盛り込まれていました。

第4章 実際に接種するとき

Q1 ワクチンの接種スケジュールを教えて!
Q2 定期接種と任意接種ってどう違う?
Q3 旅行や留学のときに必要なワクチンは?
Q4 インフルエンザワクチンは効かない?
Q5 すでにかかってしまった感染症のワクチンは不要?
Q6 同時接種をしても大丈夫?
Q7 ワクチンは接種直後から効果があるの?
Q8 ワクチン接種前後に気をつけるべきことは?
Q9 副反応ってどんなものがあるの?
Q10 副反応が起こったときに補償を受けられる?

この章では、実際に予防接種をする前後で気になる点、よく外来で質問される点について書かれています。

予防接種のスケジュールであったり、同時接種の是非、有効性はいつくらいから出るのか、と言った細かな点が平易に書かれています。

第5章 予防接種をできない、したくないとき

Q1 家族が予防接種に反対して困っています
Q2 これだけは接種したほうがいいというワクチンは?
Q3 ワクチンなしで感染症を防ぐにはどうしたらいい?
Q4 予防接種は不要という証明書をもらいました
Q5 やっぱり予防接種したいと思ったときはどうすべき?

こちらの章では、予防接種をためらっている方に、少し怖いと思っている方に向けて書かれた章です。あるいは、親族・友人・知人などから「予防接種は不要、選んで打つべき、延期するべき」など、根拠のないアドバイスをもらった時に読んで欲しい章でした。

外来診療でも活かせそうな言葉が沢山の並んでいます。

良かった点・悪かった点

良かった点

分かりやすいけれども、深みのある内容というのが良かった点だと思います。
分かりやすさと対象に、過度な単純化がされた書籍はありますが、執筆された先生方はそういった安易な選択はせず、外来で説明するような内容を1つずつ真摯に書いている印象を受けました。

あと、表現が保護者目線のものが多いと思いました。小難しい専門書より、今回の書籍のように分かりやすく、優しくて易しい言葉で書かれたワクチンの本はなかなか無いのでは無いでしょうか。

悪かった点

自分はそこまで気になりませんでしたが、お値段が少し高いと感じる方がいるかもしれません。確かに一般書として「¥1500 + 税」は少し高いと感じる方がいるでしょう。ですが、中はグラフや表が沢山使用されており分かりやすくなっていますし、引用文献もしっかりしています。少し高くても、その分は内容でしっかり盛り込まれていると思います。

「やさしい」と書かれてありますが、確かに小児科医として読むとスラスラといけるのですが、普段、いろんなデータを見慣れていない一般の方からすると、それでも「やさしい」と感じない方がいるかもしれません。この辺りのデータの正確さと、「わかりやすさ」の天秤は難しいですね。私も日々、悩んでいます。

まとめ

同じ小児科医という同業者の視点からみても、圧倒的にオススメの本と思います。

乳幼児のいる家庭、これから出産予定のある方、子供を作る予定のある方、ワクチンについて詳しく知りたい方などは、こちらの書籍を読まれると良いと思います。

あと、小児科の若手のドクターも、保護者の方にどんな説明をすれば良いのか、この本を読めば参考になる表現が沢山あります。決して保護者に対して断定的にならず、でも筋を通す、そいうった強かさがこもっている本です。

森戸やすみ先生の書籍

そのほか、森戸やすみ先生は書籍を多数執筆されています。どれも超オススメでして、私も沢山勉強させていただきました。

Dr.KID
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小児科医として読むときは、外来での説明方法や表現を参考にさせてもらってます。

ABOUT ME
Dr-KID
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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。