小児科

便秘の薬って癖(くせ)になりませんか?

小児科医がこどもの便秘について解説しますこどもの便秘のポイント こどもの便秘の治療のポイントは、こちらです; 便秘とは「便が溜まり排出できない状態」です 便秘は生...

以前、便秘について、こちらに詳しく記載しましたが、外来で便秘の治療を開始する時に一番多い質問が『便秘の薬ってクセになりませんか?』です。

今回は、この質問に答えてみようと思います。

便秘は珍しい病気ではない

こどもが便秘と聞くと、少々驚かれる方もいますが、小児の便秘自体は全然珍しくなく、日常的によく診ます。

おおよそですが、10人に1人くらいは便秘ではないかと考えられています。

Dr.KID
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比較的よくみる疾患です。

便秘になるメカニズム

便秘の原因は様々ですが、ストレス・生活習慣・水分摂取などが原因で、便が直腸(うんちの出口)に溜まることで起こります。

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実は一定の傾向があります。

端的にいうと:

  1. 直腸に便が溜まる
  2. 便意(排便したいという感覚)がなくなる
  3. 便が直腸で放置される
  4. 便の水分が吸収され硬くなる
  5. さらに便が溜まる

を繰り返している状態をいいます。

 

便秘の薬は、正しく使用すれば癖にならない

便秘の薬は正しく使用すれば癖にはなりません。

Dr.KID
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薬を飲んだから便が溜まるというより、薬を飲まないと出ないほど便が溜まってしまった状態なのです。

癖になっているのは、便が腸に溜まる習慣のことで、便秘の薬が原因で便が溜まることはまずないでしょう。
大事なことは、適切な治療をして、悪循環を断ち切ってあげることです。

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排便習慣が確立できなくて便がでなくなり薬や浣腸が必要なだけです。

便秘の治療について

小児の便秘について④:病院で行う小児便秘の治療法前回は家庭でできる小児の便秘対策について説明してきました。   とはいえ、ご家庭で色々と工夫をしてみても、なかなか便秘が改善しないこ...

 詳しくはこちらに記載していますが、便秘の治療は:

  • 生活習慣・食事・運動・水分の改善
  • 浣腸の指導
  • 便を柔らかくする薬の使用

をします。

浣腸はいつ使いますか?

浣腸は、便が慢性的に溜まっている場合、排便するきっかけになりますので、特に便秘の初期に使うことが多いです。
腸の出口に詰まった栓を取り除いてあげて、便の通りをよくしてあげるイメージで使用しています。

 

Dr.KID
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出口に硬い便が溜まっていたら、便も出づらいですよね。

浣腸で硬い便が出てしまえば、あとは飲み薬や生活習慣の指導で改善することも多いです。

治療に時間はかかりますよ

便秘は普段の生活などの積み重ねで起こります。
ですので、治療には少し時間がかかります。

しっかり治るのに早くても数ヶ月〜半年かかることは多いです。
ですので、焦らずに気長に治療していきましょう。

Dr.KID
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浣腸をしたり、薬を飲んだらからといって、すぐに全てよくなるわけではありません。

中途半端にやめてしまったり、自己判断で中断すると、根本的には便秘は治っていないため、再発してしまいます。
すると、便秘の治療が再度必要になるため「癖になる」と感じているのかもしれません。

Dr.KID
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排便習慣を体が覚えるまでは、しばらく時間がかかるのです。

まとめ

便秘の薬を使っても癖にはなりませんので、しっかりと便秘の治療をしましょう。
便秘は習慣的になってしまっているので、軽快するには時間がかかります。

中途半端に治療すると、結局、また便秘の薬が必要になるため「癖になる」と感じてしまうかもしれませんが、根本的には便秘が治っていなかったのです。

あわせて読みたい:便秘について4回シリーズで解説 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。