メタ解析

システマティック・レビューとメタ解析について⑧ 〜Dose-response メタ解析について〜

前回、出版バイアスの統計学的な評価方法である、

  • Begg’s test(Begg検定)
  • Egger’s test(Egger検定)

について、さらに

  • Trim and Fill method

を説明してきました。

今回は、Dose-response メタ解析について、簡単に説明していければと思います。

Dose-response メタ解析について

Dose-response meta-analysis(メタ解析)は、その名の通り、「治療・暴露因子の用量(dose)」と「アウトカム(反応:response)」をメタ解析で行う手法のことをいいます。

Dose-response メタ解析を行う理由は様々ですが、研究によって治療や暴露の量が異なることがあるからです。

この問題はRCTでも観察研究でも起こりえます。

Dose-response meta-analysis(メタ解析)の目的について

Dose-response メタ解析では、治療や暴露因子のレベル(量)の違いによって、どのようにアウトカムが変化するのかを見ます。

治療や暴露の量が変化すると、アウトカムの頻度が

  • 減るのか
  • 増えるのか
  • 変わらないのか

といったトレンドを見ます。

Dose-response meta-analysis(メタ解析)の方法について

大まかに分けて、Dose-response メタ解析では2つの方法があり、

  • Two stage approach
  • One stage approach

に分かれています。

この方法について、実例を用いながら説明していきましょう。

Two stage approachについて

Two stage approachは、日本語で直訳すると二段階法になります。

解析者が踏む段階として;

  1. それぞれの研究で用量反応曲線を予測する
  2. 研究間での結果を回帰分析で統合する

という手順になります。

アウトカムは二値変数(binary outcome)でも、連続変数(continuous outcome)でも行えます。

Adiponectinと2型糖尿病の例

www.ncbi.nlm.nih.gov

こちらの研究では、Adiponectinが2型糖尿病のリスクを変化させるか見ています。

この場合;

  • 用量:adiponectin
  • 反応:2型糖尿病のRisk

となります。

それぞれの研究での用量-反応曲線をみて統合する

f:id:Dr-KID:20180818101349p:plain

こちらは論文中に掲載されているfigureですが、個々の研究結果の用量-反応曲線を書いています。

そして、最終的にこれらの結果を回帰分析で統合します。

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こちらの記載から;

  • 用量:Adiponectionのレベルは 1-log μg/mL上昇すると
  • 反応:2型糖尿病のリスクは0.72倍になる

と結論づけています。

One stage approachについて

One stage approach は

  • 個々の研究で用量反応曲線を予測する
  • 研究間での結果を回帰分析で平均化する

を同時に行います。

「そんなこと可能でしょうか?」と思われた方がいるかもしれません。
混合効果モデル(Mixed effect model)という手法を使えば可能です。

One-stage approachの例

こちらの研究では、

  • 用量:コーヒーの消費量(杯/日)
  • 反応:致死率

をみています。

One stage approachですので、先ほどのように個々の結果はみず、1つの統計モデルで一度に対処してしまいます。

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上の実線はone stage、下の点線はtwo stage approachの結果になります。

コーヒーの摂取量が増えると、死亡率が下がっているのがよくわかります。
特に、1日2〜3杯くらいまでは、死亡率を大きく下げてくれるのがよく分かります。 

まとめ

今回はDose-response meta-analysis(メタ解析)の統計学的な評価方法について、簡単に説明してきました。

次回は、Stataを使って、実際にメタ解析をしてみようと思います。

システマティック・レビューとメタ解析について⑨ 〜メタ解析の実践(binary outcome)〜前回まで、メタ解析の考え方、手法などを8回に分けて説明してきました。 https://www.dr-kid.net/entry-201...

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このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。