ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気・育児〜

システマティック・レビューとメタ解析について① 〜イントロ編〜

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「システマティック・レビューとメタ解析」と聞くと「最高峰のエビデンス(科学的根拠)」と考えるかもしれません。

確かに、質の高い研究があり(RCTなど)、文献をくまなく調査し、研究データを偏りなく評価し、正しい手法で導き出された結果であれば、信頼性の高い結果になるでしょう。

しかし、研究者により、その方法論が甘かったり、報告の仕方がお作法通りでないことがあります。

 

もちろんシステマティック・レビューとメタ解析の存在を否定するつもりは全くありません。

ですが、システマティック・レビューとメタ解析ですら、研究の質はバラバラで、よい研究か否か見分ける力が必要です。

今回からシステマティック・レビューとメタ解析について解析しいきます。

 

ステマティック・レビューとは

ステマティック・レビューは系統的レビューとも言われています。

その名の通り、過去に行われた研究を網羅的に調査し、質の高い研究を選び出し、偏りなく分析を行うことをいいます。

▪️ システマティック・レビューの特徴

文献を「系統的に」調査をするには、4つほど注意点があり、

  • 目的が明確であり、再現性のある方法である
  • 該当する研究結果は全て確認する
  • 対象となった研究結果の妥当性を評価する(バイアスなど)
  • 結果を系統的に提示する

です。過去の研究数が少なかったり、質の高い研究結果がなければ、メタ解析は行われないこともあります。

▪️ なぜシステマティック・レビュー?

ステマティック・レビューとメタ解析をするには、研究テーマにもよりますが、早くても3〜6ヶ月程度の時間を要します。

なぜこれだけの時間と労力をかけてシステマティック・レビューをするかというと、

  • 医療者・研究者・政策者などに有益であるから
  • 記述的レビュー(narative review)より客観的で、透明性が高い
  • ある仮説のエビデンスが不十分であることも示せる(lack of evidence)

といった利点があるからです。

 

メタ解析について

メタ解析では、過去に行われた個々の研究結果を統合します。

「統合」するためには、

  • 治療や暴露因子(exposure)とアウトカムが研究間で同等とみなせる
  • 母集団によって治療効果が大きく変わらない

といった前提が必要になります。

 

▪️ なぜメタ解析をするのか?

過去の研究結果を統合することで

  • 第二種過誤(Type II Error)が減る
  • 一般化の向上(generalizability)
  • 結果のばらつきの原因を同定できるかも(heterogeneity)

などの利点があります。

▪️ おまけ:第一種過誤(Type I error)と第二種過誤(Type II error)

Type IやType II errorと書かれると分かりづらいかもしれませんが、簡単にいうと

のことをいいます。

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妊娠を例にいうと;

  • 本当は妊娠していないのに「妊娠している」と言われるのがType I error
    偽陽性:false positive)
  • 本当は妊娠しているのに「妊娠していません」と言われるのがType II error
    偽陰性:false negative)

と理解すると分かりやすいかもしれません。

▪️ メタ解析が行われないケースがある理由

ステマティック・レビューをしたけれどもメタ解析をしない場合もあります。

例えば、

  • 研究間でのばらつきが大きすぎる
  • 治療方法が大きく異なる
  • 治療のアウトカムが大きく異なる
  • 研究デザインが異なる(RCTと症例対照研究)
  • 参加者が大きく異なる
  • データの数が少ない(最低でも5ー6個の研究が必要)

などの場合、メタ解析をせずに終わることもあります。

 

ステマティック・レビューとメタ解析の限界

▪️「Garbage in, Garbage out」:ゴミデータは価値がない

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よく英語で『Garbage in, Garbage out』と言われますが、これは『無意味なデータをメタ解析しても、無意味な結果しか出てこない』ことを言います。

個々の研究の質が低ければ、メタ解析をしても質は低いままです。

個々の研究の質の評価として;

  • 選択バイアス(ドロップアウトの数など)
  • 交絡
  • 情報バイアス(計測エラーなど)
  • 逆の因果

などに注意するとよいでしょう。

逆にいうと、メタ解析をする際に、個々の研究(主にRCT)の質を評価する力が研究者に求められます。メタ解析をする前に、疫学の基本について、きちんと把握していることが望ましいです。

▪️ 研究結果のばらつきについて

研究結果のばらつき(Heterogeneity)が大きすぎる時もメタ解析が行えなくなります。

例えば、

  • 治療はアウトカムの発症を1/3にした(予防効果)
  • 治療はアウトカムの発症を3倍にした(有害)

という2つの研究結果をまとめるのは難しくなります。
(2つの研究をあわせて1倍(効果なし)とするのはNG)

なぜかというと、この2つの研究結果から、同じ治療をしても

  • 予防効果がある集団
  • 危険性がある集団

という異なる2つの集団が存在することが予想されるからです。

▪️ 出版バイアスについて

メタ解析では出版バイアスの評価も必須です。

なぜなら、ほとんどのジャーナルは統計学的に有意であった研究は採択されやすく、その逆は採択されづらいからです。

出版バイアスは「funnel plot」と呼ばれる手法で確認することもできます。

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まとめ

今回はシステマティック・レビューとメタ解析について簡単に解説してきました。

次回からは、それぞれの方法論を詳しく説明していこうと思います。

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