小児科

蕁麻疹・血管性浮腫について詳しく解説します① 

『急に赤いブツブツができて、すごく痒がっています』と受診されることがあります。

おそらく蕁麻疹でしょう。

小児では蕁麻疹は非常に多く、原因不明であることがあります。今回は蕁麻疹について説明していきましょう。

蕁麻疹の特徴について

蕁麻疹の特徴は、

  • 赤く膨隆している
  • 痒みを伴う

 皮膚の発疹です。通常は蕁麻疹は痛みを感じないです。

 

蕁麻疹は皮膚の免疫反応で起こります

蕁麻疹は『肥満細胞』などの免疫細胞が活性化することで起こります。

『肥満細胞』が活性化すると、ヒスタミンという物質が放出され;

  • 痒み
  • 赤み
  • 皮膚の膨隆

といった皮膚の症状が起こるのです。

血管浮腫と蕁麻疹はなにが違いますか?

蕁麻疹と似たような現象で、『血管浮腫』があります。

血管浮腫は蕁麻疹と似たようなメカニズムで起こりますが、蕁麻疹より皮膚の深い場所で起こっています。

このため、

  • 顔・まぶた・耳・口・手足の腫れ
  • 体の片方の浮腫
  • 皮膚が赤い

といった症状になります。

 

気をつけたほうがよい蕁麻疹・血管性浮腫について

蕁麻疹も血管性浮腫も、基本的には命の危険にさらされることは少ないですが、

  • 呼吸がしづらい
  • 喉に違和感がある
  • 嘔吐・吐き気がある
  • お腹が痛い
  • 意識を失ってしまった

などの症状を伴うことが稀にあります。

このような場合は、すぐに医療機関に受診しましょう。

蕁麻疹の種類について

蕁麻疹は大きく3つの種類があり;

  • 急性蕁麻疹
  • 慢性蕁麻疹
  • その他

と分かれています。

急性蕁麻疹について

急性蕁麻疹は、その名の通り、急に発症して、比較的速やかに軽快する蕁麻疹です。

およそ数日から1〜2週間以内に治ることが多いでしょう。

急性蕁麻疹の原因について

急性蕁麻疹の原因として多いのは

  • 感染症:80%はウイルス感染
  • 薬:抗生剤など
  • 虫刺され:蜂など
  • 食物アレルギー
  • 他のアレルギー:動物、ゴムなど

があげられます。

慢性蕁麻疹について

慢性蕁麻疹は4週〜6週以上続く蕁麻疹のことをいいます。

この場合、かなり長期間、蕁麻疹に悩まされることがあります(例えば、睡眠など)。

長く蕁麻疹が続くと「周りの人に移してしまうのではないか?」と思われる保護者の方もいますが、蕁麻疹は基本的に感染性はありません。

また、長く続くと「これは一生続くのでしょうか?」と心配されることもありますが、 ずっと続くことは稀で、50%は1年以内に軽快します。

蕁麻疹やそれに伴う症状(かゆみなど)は、薬である程度はコントロール可能です。

 

その他の蕁麻疹について

蕁麻疹は特定の環境などで誘発されることがあります。例えば、

  • 寒さ(寒冷蕁麻疹)
  • 体温の変化(コリン性蕁麻疹)
  • 振動
  • 圧迫
  • 運動
  • 日光(日光蕁麻疹)

などが有名です。

これらで誘発される蕁麻疹は長引く傾向にあります。

まとめ

今回は蕁麻疹・血管性浮腫について、そして蕁麻疹の種類と原因について解説してきました。

次回は蕁麻疹の検査や治療について詳しく説明していきます。

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。