小児科

こどもの脳震盪(のうしんとう)について【小児の頭部外傷】

 

脳震盪(のうしんとう)について

脳震盪は、転倒やスポーツで衝突して起こる、脳の傷害です。

脳震盪の症状は、

  • 意識レベルが低下し、ぼーっとしてしまう
  • 記憶がなくなる、曖昧になる
  • 頭痛がする

といったものが代表的です。

医師からOKがでるまでは、スポーツは再開しないようにしましょう。

脳震盪を起こしやすいスポーツ

脳震盪は頭をぶつけた際に起こりやすいです。

このため、体と体の接触があるスポーツで脳震盪を起こしてしまうケースが多いです。

例えば、ラグビー、サッカー、アイスホッケー、アメフト、ラクロス、格闘技などが代表的なスポーツです。

脳震盪の症状について

脳震盪は、頭をぶつけてからすぐに症状が出ることもありますし、少し遅れて症状が出てくることもあります。

数分から数時間で出てくる症状

脳震盪の症状として比較的早くでてくる症状は、

  • 記憶がなくなる
  • 意識がボーッとしてしまう
  • 頭痛がする
  • ふらつく
  • 吐き気がある or 嘔吐してしまう
  • 眠い
  • おかしな行動をとる
  • 意識がなくなる(非常に稀)

などでしょう。

数時間から数日で出てくることがある症状

少し時間がたってから症状が出てくることがあります。例えば、

  • 歩きづらい or 話しづらい
  • 記憶力が低下した or 集中力が保てない
  • ものの見え方が変
  • 光や音に過敏になった

といった変化がみられることがあります。

どのような時に受診したらよいですか?

受診の目安としては、

  • 3回以上嘔吐をした
  • ひどい頭痛がする
  • けいれん(手足をガクガク震えるような仕草)をした
  • 歩けない、歩きづらい
  • 視力が急に変化した
  • 手足に痺れがある
  • 意識を失った

などは、お早めに一度は受診したほうがよいでしょう。

どのような検査をしますか?

病院で診察する際には、意識が晴明であるか(受け答えがはっきりしているか)、神経学的な異常がないかを見ています。

検査としては

  • CT
  • MRI

をすることが多いでしょう。

画像検査で骨折していないか、脳に損傷や出血がないかを確認します。

脳震盪後の治療

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基本は安静です。そして安静が最も重要で、自然に脳が回復するのを待ちましょう。

スポーツへの復帰は焦らず、医師がOKするのを待ちましょう。

脳が修復している途中で、焦ってスポーツを再開して、再び脳震盪を起こすと、重症になってしまう場合があります(Second Impact Injuryといわれています)

一見すると大丈夫そうでも自己判断でスポーツへ復帰するのは控えましょう。

日常生活で気をつけること

脳震盪後は脳をゆっくり休めたほうがよいため

  • テレビゲームやコンピューターなどは避ける
  • 激しい(騒がしい)音楽は避ける
  • 軽い運動でも、頭を打つ可能性のあるのは避ける(スケートボードなど)

などに気をつけると良いでしょう。

いつからスポーツに復帰できますか?

かかりつけの医師と相談しましょう。

ほとんどのケースで2週間以内に復帰することはできますが、決して焦らないようにしましょう。

運動の強度も徐々に上げていくようにしましょう。
最初は軽いウオーキング・ジョギングから始めると良いでしょう。

まとめ

脳震盪は頭に衝撃を受けた際に起こる、一過性の脳の損傷です。
脳の損傷が回復するまで時間はかかりますので、まずは安静にしましょう。

スポーツを再開する際も、軽い運動から徐々に強度を上げていくとよいでしょう。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。