小児科

小児の心膜炎について説明します

心膜炎は稀な疾患ですが、非常に重篤な状態になるケースがあるので、小児科医が外来で細心の注意を払っている疾患です。

『心膜炎(しんまくえん)』と言われても、イメージが湧きづらいと思いますので、今回は簡単に説明をしてみようと思います。

心膜炎 = 心膜に炎症が起きた状態

心膜について

心膜とはその名の通り『心臓の周りを覆う膜』のことを言います。

 

心膜は、心臓と周りの組織(肺や食道など)との摩擦を避けるためにあります。

心膜炎とは

心膜炎とは、この心臓の周りを覆う膜(心膜)に炎症が起きた状態をいいます。

原因は様々ですが、大きく3つに分けられます。

心膜炎の原因

  1. ウイルス感染症
  2. SLEなど自己免疫疾患
  3. 手術後

が主な原因です。

*自己免疫疾患とは、自分の免疫細胞が、間違って自分の組織を攻撃している状態をいいます。

心膜炎の症状

心膜炎の症状として多いのは;

  • 胸の痛み
  • 発熱
  • 疲労感・倦怠感
  • 呼吸が苦しい

があげられます。

胸痛の特徴

胸の痛み(胸痛)は、鋭い痛みのことも、鈍い痛みのこともあります。

典型的な痛みは;

  • 深呼吸をすると痛みが悪化する
  • 前傾姿勢をすると痛みは軽快する

といわれています。

どのような時に心膜炎を疑い、受診すべきか?

心膜炎に特徴的な症状はあまりありませんが、疑う目安として;

  • 胸痛がある
  • 授乳・哺乳中に(いつもと違って)非常に汗をかく
  • 呼吸が苦しそう
  • 手足がむくんでいる

などが目安になると思います。

心膜炎の検査について

いくつかの検査を組み合わせて診断すると思います;

  • 心電図
  • 心臓の超音波
  • レントゲン
  • 血液検査

をするのが一般的でしょう。

心膜炎の治療について

心膜炎の原因によって異なりますが;

  • アスピリンなどNSAIDsで炎症と痛みをとる
  • ステロイドで炎症を抑える
  • (細菌感染を疑えば)抗生物質を使用する
  • 安静にする
  • 水分を制限する
  • 心膜に水分が大量にあれば手術で排泄する

が代表的です。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。