ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記のブログ〜

乳幼児へのマクロビオティックは、必要な栄養素が不足し、成長や発達を遅らせる可能性がある

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マクロビオティックというと何となく体に優しく、健康によさそうなイメージを持っている方が多いかもしれません。

マクロビオティックは若い女性で取り入れている方もいます。
このためか、決して多くはないのですが、子供にまで似たような食事を応用している保護者をみかけます。

また「〇〇と▲▲と X X がアレルギー検査に引っかかったので、除去していました」と、血液検査のみで(菜食主義に等しいくらい)極端な食制限が行われているケースもあります。

▪️ マクロビオティックについて

マクロビオティックの食事は、全粒穀物・野菜・豆果・海藻・ナッツ・フルーツなどを中心にしています。

乳製品や肉類などは避け、ビタミンDサプリメントも摂らないケースもあるようです。

▪️ 乳幼児への安全性は不安視されています

成人にとって体に良いと思われる食事は、必ずしもこどもに健康的ではないこともあります。

アメリカ小児科学会を始めとした複数の学術団体は、マクロビオティックは乳幼児の成長・発達に必要な栄養素が不足する可能性を不安視しています。

 今回はマクロビオティックが乳幼児の成長・発達に与える影響に関する論文をピックアップしてみました。

オランダで行われた研究で、少し古い論文ですがご容赦ください。

研究の方法

  • 正常な出生体重
  • 先天的な異常(病気)がない

小児を対象に、コホート研究が行われました。

乳幼児にマクロビオティックを取り入れている集団と、通常どおりの食生活をしている集団を比較しています。主に

  • エネルギーと栄養素の摂取状況
  • 身長・体重
  • 運動・言語発達

を研究のアウトカムとしてみています。

▪️ マッチングをしたコホート研究(Matched Cohort Study)

最初のアンケート調査でマクロビオティックをしている母親と乳児(6ヶ月未満)を割り出し、追跡をしています。

コントロールは健常な乳児で、同じアンケートからマッチングという手法で割り当てています。

マッチした因子には

  • 誕生月
  • 性別
  • 居住区
  • 親の教育レベル

などです。

コホート研究では追跡開始前にマッチングをすることで交絡因子の影響を除去することができ、さらに統計学的な有効性を確保できます。

研究結果と考察

▪️ 高学歴な家庭にマクロビオティックが多かった

マクロビオティックを乳幼児の食事に取り入れている家庭の教育レベルは高かったです。
例えば、父の64%および母の45%が大学を卒業しています。

一方、通常の食事を行なっている家庭は、オランダの平均と同じくらいの教育水準でした。(父の17%および母の9%が大学を卒業しています)

 *1994年のデータなので、現在のオランダの教育レベルを反映していない可能性があります。

▪️ マクロビオティックと母乳栄養について

マクロビオティックを取り入れている乳幼児は、完全母乳栄養が96%でした。
一方、コントロール群は74%でした。

母乳の期間は、マクロビオティック群では平均13.6ヶ月、コントロール群では6.6ヶ月という結果でした。

以上から、家庭でマクロビオティックをしている場合、完全母乳栄養の可能性が高く、母乳を与える期間も長いといえます。

▪️ マクロビオティックが乳幼児の身長・体重に与える影響

生後6ヶ月まではマクロビオティック群もコントロール群も身長・体重に大きな差はありません。
おそらく、両方の集団は母乳栄養が多く、栄養不足になる要素がなかったためでしょう。

しかし、マクロビオティック群は生後8〜14ヶ月になると、身長・体重は月齢に比して小さめになり、最終的には平均して10%ileに下がっています。(100人中10番目くらいの身長・体重)

つまり、マクロビオティック食を取り入れている乳幼児は、生後6ヶ月からの約1年で、100人中50番目くらいであった身長・体重が、生後18ヶ月で100人中10番目くらいになってしまたわけです。

体重は2歳以降に少し増加傾向にありますが、身長は低いままでした。

▪️ マクロビオティックとタンパク質・脂質摂取について

総カロリー摂取はマクロビオティック群で明らかに少ない結果でした。

脂肪摂取量は、マクロビオティク群が17%〜37%ほど低く、タンパク質の摂取量も一日あたり平均12gほど少ないです。

▪️ カルシウム・リン・ビタミンDは不足していました

今回の研究では、マクロビオティック群のほとんどがビタミンDサプリメントを取り入れていなかったです。

カルシウム、リンの摂取はマクロビオティック群が少なく、ビタミンDも低い値でした。

臨床的にくる病(ビタミンD欠乏による骨の病気)と診断される割合は、マクロビオティック群で28%でした(コントロール群は0%)。

▪️ ビタミンB12と鉄分は不足していました

マクロビオティック群において、血中のビタミンB12は250 pmol/L低かったです。

鉄分摂取量はマクロビオティック群のほうが多かったのですが、血液検査上で鉄欠乏状態と判断された乳幼児は15%いました。

おそらく、食物由来の鉄分は吸収効率が悪いためと考えられます。

 ▪️ 運動・言語発達も遅れてしまいました

マクロビオティック群の運動・言語発達も遅れていました。

例えば、歩行開始年齢はマクロビオティック群のほうが3ヶ月遅いです。

 

まとめ

マクロビオティックを乳幼児に行うと

  • 必要な栄養素が摂取できなくなる
  • 身長・体重の成長が妨げられる
  • 運動や言語発達が遅れる

といった可能性が指摘されました。

私個人としては乳幼児へのマクロビオティックは強くお勧めしません。

しかし、(宗教上の理由などで)もし行う場合は栄養素が不足しないように綿密な計画が必要と思います。

栄養の専門家に相談したほうが安全と考えています。

▪️ 関連記事:乳児の鉄欠乏について

▪️ 関連記事: カルシウム不足について

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