小児科

乳幼児は何でも口に入れます:誤飲に注意しましょう。

消化管異物について

消化管異物とは、腸に異物(つまり、おもちゃなど食物でないもの)が間違って入ってしまった状態(誤飲)をいいます。

誤飲しやすいもの

消化管異物で多いのは;

  • コイン
  • ボタン型電池
  • クリップなどの金属類
  • プラスチック製品(おもちゃのかけら)

など、身の回りにあるもの全てが異物となりえます。

危険な異物

特に危険なものは、先端が鋭利なもの、磁石、ボタン型電池です。

複数の磁石を飲み込んだ場合、消化管内で粘膜を挟み込んでしまう場合があります。
また、ボタン型電池は放電して穿孔する場合があるため注意が必要です。
(穿孔=食道や胃に穴があくことをいいます)

消化管異物が停滞しやすい場所

異物を飲み込んでしまった場合、停滞しやすい部位は食道です:

  • 食道起始部
  • 気管分岐部
  • 横隔膜貫通部

の3箇所が多いです。

 

消化管異物の症状を教えてください

食道異物では、 不機嫌・よだれ・嘔吐・食欲低下、時に咳や喘鳴 を認めます。
消化管に潰瘍を形成した場合は、出血や周囲の感染を生じます。

異物が胃から十二指腸より先に移動した場合、無症状のことが多いです。

消化管異物の治療について

消化管異物の治療目標は安全な排除にあります。

誤飲した異物の種類、形態、停滞部位、停滞期間によって排除方法を慎重に選択します。
排除方法には:

  1. バルーンカテーテルによる引き抜き法
  2. マグネットカテーテルによる摘出
  3. バスケットカテーテルによる摘出
  4. 内視鏡を利用した摘出
  5. 開腹手術

があります。

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(救急・集中治療 08年11・12月号 20ー11・12 小児救急Q&A

A. 食道異物について

食道異物では、摘出が最優先となります。
コイン等の鈍的異物で24時間以内なら、透視下に薄い造影剤を利用して、拡張させたバルーンカテーテルにより引き抜く場合があります。

これより時間が経過した場合は、カテーテル法は行わないことが多いです。
というのも、粘膜が痛んでしまうため、潰瘍を悪化させてしまうためです。
この場合は、内視鏡を使用します。

B. 十二指腸以下の場合

ほとんどのケースで自然排出されるのを待ちます。
おおよそ48時間で自然排泄されることが確認されています。
鋭利なものでも、鋭利端を頭側にして排泄されます。

1%未満の頻度ですが、穿孔してしまう場合もあり、注意が必要です。
入院させてレントゲン撮影を行いながら様子をみることが多いです。

予防が大事です

まず、500円玉以下の大きさのものは全て、こどもは飲み込む可能性があると考えた方がよいでしょう。

このため、トイレットペーパーの芯に通るものは、手の届く範囲に置かないようにしましょう。

最近は誤飲チェッカーも売っているので、こちらの商品を使用しても確認してもよいでしょう。
代用品として、トイレットペーパーの芯もほぼ同じサイズです。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。