感染症

伝染性単核球症(EBウイルス)を解説します

伝染性単核球症ってなんですか?

伝染性単核球症は「EBウイルス」に感染すると起こります。
EBはEpstein-Barrという名前の頭文字でEBウイルスといい、 ヒトヘルペスウイルスに分類されています。

Dr.KID
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頭文字をとってEB virus!

EBウイルスの感染経路

EBウイルスは、唾液から感染することが多いです。
日本では、乳幼児期にEBウイルスに感染して無症状で経過していることが多いです。

ですが、乳幼児期にEBウイルスに感染せず、学童や青年期に感染をすると、伝染性単核球症となることがあります。

日本と比べて、欧米ではEBウイルスに感染する時期が遅く、デートでキスをして2週間〜3週間後に罹患するため、「kissing disease」といわれています。
親にキスをしたのがバレるので、少々恥ずかしい病気ともいえますね。

 

伝染性単核球症の症状について

ここからは伝染性単核球症の症状について解説していきます。

潜伏期間について

潜伏期間はEBウイルスに感染して、症状が出るまでの期間になります。
EBウイルスに感染しても、すぐに症状がでないことが多く、潜伏期間は4週間〜6週間です。

主な症状について

伝染性単核球症を発症すると;

  • 発熱
  • 頚部リンパ節腫脹
  • 肝脾腫(肝臓や脾臓が大きくなる)
  • 咽頭・扁桃炎
  • 発疹

が症状として出てきます。

瞼(まぶた)の浮腫(むくみ)を認めることが特徴的です。

発熱は1〜2週間程度持続することがあります。
幼少児のほうが、臨床経過は短く、軽症ですむことが多いです。

伝染性単核球症の診断について

見た目と経過でわかることが多いですが、血液検査で診断の精度はぐっとあがります。特徴としは;

  • 白血球数が増える
  • 異型リンパ球の増加(割合 > 10%)

があります。

時に、肝機能障害を認めることもありますが GPT (AST) < 400 IU/L がほとんどです。
この肝酵素の上昇は、EBウイルスを発症して2週間くらいがピークで、その後は徐々に軽快することが多いです。

抗体検査について

最近では、血中の抗体価を測定できるようになり、こちらの検査のほうがさらに正確です。
初めての感染では:

  • IgM-VCA (viral capsid antigen) 抗体
  • EA (early antigen) 抗体

が陽性となります。

合併症・続発症について

合併症の頻度は高くはないですが;

  • 肺炎
  • 脳炎
  • ギラン・バレー症候群
  • 肝炎
  • 血球貪食症候群
  • 慢性活動性EBウイルス感染

を起こすことがあります。
Burkitリンパ腫(悪性リンパ腫)や上咽頭癌との関連性も指摘されています。

Dr.KID
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様々な疾患との関連性が報告されており、不思議なウイルスの1つです。

EBウイルスの治療について

特効薬はないので、体の免疫がウイルスを退治して、自然に軽快するのを待ちます。
抗生物質(特にペニシリン系)は、発疹を起こしてしまうため使用しないのが一般的です。

Dr.KID
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抗生剤はウイルスには効かないのです。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。