小児科

新生児・乳児・幼児の睡眠について解説します〜夜泣き・いびき〜

 

睡眠サイクルの確立は生後1年で徐々に

生まれたばかりの新生児の体の機能は、とても不安定です。
徐々にですが、体の機能は成熟してきて、体温の調整、授乳、嚥下が発達するのと並行して、睡眠サイクルが確立してきます。

おおよそですが、生後1年で徐々に睡眠のサイクルができあがります。

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睡眠サイクルを確立するのに重要なこと

睡眠リズムの確立を促すためには、保護者は一貫した行動、赤ちゃんにとっても予測可能な行動をとると良いでしょう。

具体的には、睡眠の前にルーチンを決めることです。
例えば、入浴させて、服を着せて、ミルクを飲ませて、電気を暗くして、あやして寝かせる、といった具合に、決まった時間に、決まった順序で睡眠を誘導することが重要です。

夜泣きは保護者もつらい

最初の1年の健診でうける相談は、夜泣き・睡眠サイクルが、とても多いです。
こどもが毎日のように夜泣きをしたりすると、保護者の方々は非常に大きなストレスを抱えます。

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睡眠サイクルと夜泣き

夜泣きは赤ちゃんの睡眠サイクルや睡眠の質と関連していることがあります。
夜泣きの詳細なメカニズムは不明な点も多いですが、睡眠が浅く質の低い時に夜泣きは起こりやすいと考えられています。

動的な睡眠と静的な睡眠

赤ちゃんには「動的な睡眠」と「静的な睡眠」があります。

「動的な睡眠」とは、浅い睡眠のことをいいます。
浅い睡眠のときは、目が覚めやすい状態で、 体や目を動いたり、呼吸は不規則でることが多いです。
例えば、ショックピングモールに連れて行ったり、車の中で寝たりした状態のことをいいます。
このときの睡眠の質は高くないため、十分な脳と体の休息になりません。

一方、「静的な睡眠」とは、深い睡眠のことをいいます。
深い睡眠では、覚醒は難しく、呼吸は規則的で、体は動きません(ビクッとすることはあります)。

夜泣きを改善させるには

夜泣きに有効な治療はなく、時間とともに軽快するのは待つのが基本です。
漢方を処方する医師もいますが、残念ながら科学的な根拠ははっきりしない治療法です。(少なくとも私は処方していません)

夜泣きが治るタイミングは個人差が大きく、数週間でよくなる子もいれば、月単位で夜泣きが続くこともあります。

大事なことは、睡眠前のルーチンを続けて、深い睡眠を促すことです。
できるだけ同じ時間に昼寝をし、食事をし、遊びをし、本を読み、お風呂に入る、とルーチンを決めることで「静的」で深い睡眠が得られます。

赤ちゃんが、深い睡眠を得られるよう、毎日の習慣を整えることが重要といえます。

1歳以降の睡眠について

1歳くらいになると、多くのこどもは夜間に持続して睡眠し、夜中に覚醒しても自力で再び睡眠に戻れるようになります。

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1歳以降も日々のルーチンは重要です

1歳以降も、睡眠(特に入眠する時間)を習慣づけるためには、日々のルーチンを大事にするとよいでしょう。
例えば、風呂に入る、本を読む、歌を歌うなどして、入眠前の習慣として確立していましょう。

睡眠時間について

乳幼児は8〜12時は眠ります。
こどもによって睡眠時間にばらつきはありますが、このくらいです。
夜間の睡眠時間はお昼寝や入眠するタイミングも関係してきます。

睡眠リズムと問題行動

睡眠リズムと4〜6歳の子供の行動を研究した報告があります。
この研究で分かったことですが:

  • 21時以降に週2回以上、外出する
  • 布団に入るのが23時以降が週4日以上ある
  • 外出先からの帰宅が21時以降になるのが週3日以上

のどれかを満たす場合、幼稚園・保育園で問題行動を起こしやすいと言われています。
生活リズムが不規則ですと、お子さんは問題行動を起こしやすくなると言えます。

眠りやすい寝具ってありますか?

3種類の寝具と睡眠を比較した研究があり;

  1. 掛け布団:ポリエステル 敷布団:ポリエステル
  2. 掛け布団:ウール 敷布団:ポリエステル+ウール
  3. 掛け布団:羽毛 敷布団:ポリエステル+シリカゲル入りパッド

ですと、③の組み合わせが一番よく眠れたようです。
おそらく、③の寝具が一番軽く、通気性が良かったからではないかと思われます。

夜間に起きてしまいます。どうしたらよいでしょう?

乳幼児は夜間に起きてしまうことがあります。

原則として、1歳を超えたら深夜に起きても、食べ物や飲み物を与えないで下さい。

1歳を過ぎると、悪夢をみて起きてしまうこともあります。
そんな時は、こどもを落ち着かせてあげましょう。
声をかけてあげる、体にふれてあげ、「ここが安全な場所」と教えてあげるのです。

ストレスや体調不良のときは中途覚醒しやすい

夜間の中途覚醒は、イベントやストレスがあった時に起こりやすいです。
例えば、カゼをひいた、兄弟が生まれた、友人や親戚が訪問した、などです。

このような場合は、イベントやストレスが過ぎ去ってしまえば、元に戻るでしょう。
焦らずに、ゆっくりと見守ってあげましょう。

いびきは小児科か耳鼻科で相談を

「いびき」があれば、耳鼻科か小児科へ相談しましょう。

こどもはカゼをひいたときに、扁桃腺やアデノイドが大きくなることがあります。
これらの組織が空気の通り道を狭くしてしまうため、いびきをかくことがあります。

ひどい時は睡眠時無呼吸を起こすこともあります。
いびきがひどい場合には、小児科やこどもを診れる耳鼻科に受診されるとよいでしょう。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。