ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜

こどもが急に発熱した時の対処法のまとめ

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『急に熱が出てしまった』場合の対処法のポイントです;

  • 生後3ヶ月未満の発熱は、入院できる医療機関に速やかに受診しましょう
  • おもちゃで遊べて、顔色がよければ深夜に受診しなくてよいです
  • 氷嚢・保冷剤は、首、脇の下、太ももの内側にあてるとよいでしょう
  • 暑がるようなら、薄着にするとよいでしょう

発熱って何ですか?

 医学的に「発熱」とは『直腸温で38℃以上』です。
とはいえ、ご家庭でお尻の穴に体温計を入れて体温を測定することは、まずないでしょう。

通常は、脇の下・鼓膜・口で直腸の代わりに温度を測定していると思います。
鼓膜や口で体温を測ると低く出ることが多く、特に鼓膜の体温計は最大で2℃の誤差がでるといわれています。

脇の下で体温を測るときも、しっかりと脇にフィットしてください。
フィットしていないと、体温が低くでてしまうことありますよ。

なぜ、発熱するのでしょうか?

こどもは2歳までに4〜6回くらい発熱します。
発熱してしまうのは、ウイルスなど病原体が体の中に入ってしまい、それを体の免疫細胞が退治しようとするためです。
体は、免疫細胞である白血球を活性化させて病原体を倒すため、結果として体温が上昇します。

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つまり、ヒトが発熱するのは、病原体を退治するための正常な防御反応です。
保護者にとって心配な発熱は、実は子どもの体内のウイルスを攻撃する正常な反応なのです。

3ヶ月未満の発熱は、すぐに受診が必要!

発熱して、夜間を問わず早急に受診が必要なケースは、実はそれほど多くないです。
しかし、生後3ヶ月未満の赤ちゃんの場合は注意が必要で、 すぐに医療機関へ受診してください。
可能であれば、入院できるくらいの大きな病院が良いでしょう。
(詳しくは、以下のリンクを見てください)

生後3ヶ月以上の小児の発熱

3ヶ月以上のお子さんで、発熱時に注意したほうがよいのは;

  • 元気がなく、水分・ミルク・母乳がとれない
  • 発熱が4〜5日以上続く
  • 意識がはっきりしない、呼びかけに反応が悪い
  • 顔色や唇の色が悪い
  • ゼーゼーして苦しそうにしている
  • 強い腹痛を訴えている
  • ひどい頭痛や嘔吐のが続いている
  • 痙攣した

などです。
このような症状があるときは、速やかに医療機関へ受診しましょう。

■ 体温のアップ・ダウンに一喜一憂しすぎないで!

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『39℃になったので、心配になり受診しました』

と、体温を目安に受診するか否かを決断している方が、多いです。
あながち間違いではないのですが、体温は変動しますので、数字にとらわれ過ぎる必要もないと考えています。

体温のアップ・ダウンを気にするより、お子さんの全身状態をしっかり見て上げてください。
上に列挙したことに該当するようなら、夜遅くても早めに受診をしたほうがよいですし、本人が元気なら、しばらく様子をみていても構いません。

■ 高熱で脳に障害は残らないですか?

『高熱が続いて、脳に障害が残らないですか? 』

と心配されて質問される保護者もいます。
生理学などの教科書には 『体温が41℃以上になると、不可逆的脳損傷が起こり』『42〜43℃以上の高体温の場合は、命の危険が生じる』といわれています。

このような点から、41℃未満の発熱だけで脳に障害が起きる可能性は低いと考えられています。
発熱のみで脳に障害を残すケースはかなり稀で、背景に脳炎髄膜炎など重症な感染症が隠れていたケースがほとんどと思います。

急性疾患観察(AIOS)スケールって知ってますか?

 急性疾患観察スケールは、生後3ヶ月〜2歳の子どもに使える救急受診の目安です 。
このスケールで観察される項目が:

  • 正常:自宅で様子を見ていてよいでしょう
  • 中等度:受診を検討してください
  • 重症:早めに受診してください

と判断します。

■ 観察項目は以下の通りです

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発熱時のホームケア

発熱時のホームケアは主に;

  1. 体温を調整する
  2. 水分摂取をする

の2点でしょう。

1.熱を冷ます方法

熱を冷ますには、 氷嚢や氷枕を使って、身体を冷やすとよいでしょう。
ポイントとして、足の付け根、首回りなど大きな血管が走行している場所に当ててあげるとよいです。

■ 冷えピタをおでこに貼っても解熱効果はないですよ

冷えピタをおでこに貼って使用している場合もありますが、解熱効果はほとんどありません。
おでこには太い血管が走っていないため、血液の冷却ができないからです。

■ 解熱薬の使用

処方された解熱剤が自宅にあるなら使用してもよいでしょう。
目安としては38℃〜38.5℃以上で、本人が辛そうにしているなら使用しても良いでしょう。
解熱薬の持続時間は3時間〜4時間程度です。

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 2.水分・塩分・糖分をしっかり摂取しましょう

『発熱すると、水分代謝が激しくなるので、水分摂取をしっかりしましょう』

と聞いた事があると思います。
確かに、水分摂取はすごく重要なのですが、同時に塩分・糖分も摂るようにしましょう。

お茶や水を与えるより、乳児ならミルクや母乳、幼児なら経口補水液を与えるとよいでしょう。

 ポカリスエットアクエリアスも、お茶や水と比較したら塩分・糖分が含まれているのですが、糖分が多く、塩分が少ない組成ですので、経口補水液より効果は劣ります。

■ 室温の調整も忘れずに!

部屋の温度にも気を配ってあげましょう。最適な温度は季節によって異なりますが;

  • 夏:26〜28℃
  • 冬:20〜26℃

が適温といわれています。

エアコンで調節すると、空気が乾燥してしまうことがあります。
加湿で湿度を一定に保つことも忘れないようにしましょう。

解熱薬で熱は下げるべきか?

『熱は下げたほうがよいのですか?』

という質問を保護者からよく受けます。

私なりの答えですが、結論からいうとケースバイケースです。
つまり、お子さんも状態によって異なります。

解熱薬の使い方

解熱薬が必ずしも必要でないのは、熱があっても本人が元気な時です。例えば;

  • 熱があっても活気がある
  • 食事・水分もよくとれる
  • よく眠れている

このような状況であれば、たとえ39℃以上でも熱は下げる必要はないでしょう。

逆に、熱を下げても良いケースは、例えば;

  • 不機嫌、夜もなかなか寝付けない
  • 食事や水分摂取がイマイチ上手くいかない
  • 体力が消耗して、ぐったりしている

などの症状があるなら、解熱薬を使用してもよいでしょう。

解熱薬は、『熱を下げて苦痛をとる』のが最大の目的です。
熱を下げることで、一時的ですが、辛い症状がなくなり、 しっかり水分をとり、睡眠して、体力が回復する時間に役立ててあげるとよいでしょう。

どのようなときに採血をしてますか?

小児科医によって採血の基準はかなり異なります。ですが;

  1. 乳児期(特に3ヶ月未満)
  2. 発熱が5〜7日以上に長引く
  3. 腹痛がかなり激しい
  4. 周りに無反応、すぐに眠ってしまう、活気がない
  5. 呼吸が苦しそう
  6. 嘔吐を何度も繰り返している
  7. 複数回の痙攣、長い痙攣があるとき
  8. 川崎病を疑うとき

に採血をすることが多いと思です。

■ 採血では何を見ていますか?

採血も色んな項目がありますが;

  • 感染症・炎症の勢い:白血球の数、CRPの値
  • 血中に細菌が浮遊していないか:血液培養
  • 臓器障害のチェック:肝機能(AST/ALT)、腎機能(Cr)

が代表的でしょう。
肺炎や気管支炎を疑えばレントゲンを撮りますし、尿の感染を疑えば尿検査を追加します。

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