ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜

小児科医による乳児湿疹の解説

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乳児湿疹って何!?

乳児湿疹』は、赤ちゃんの肌トラブルの総称です。
具体的には:

  1. 新生児痤瘡
  2. 脂漏性湿疹
  3. 皮脂欠乏性湿疹

が乳児湿疹の原因となります。
乳児湿疹≠アトピー性皮膚炎』ですので、注意しましょう。

1.新生児痤瘡について

新生児痤瘡(ざそう)とは、赤ちゃんのニキビです。
出生してから生後2ヶ月くらいまで、顔に赤いブツブツができます。

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■ 新生児痤瘡の対処法

成人のニキビのケアと同じで、基本は清潔と保湿です。
赤ちゃん用のボディーソープや石鹸でしっかり洗い、その後に保湿をすると良いでしょう。

 2.脂漏性湿疹について

脂漏性湿疹は、生後数週間から数ヶ月の間にできる湿疹です。
好発部位は、頭・眉毛・鼻・耳の周りで、 特に顔の"Tゾーン"にできます。

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上の写真のように、黄色のカスができます。
この黄色いカスは、単なる皮脂の塊です。
「怖いのでそっとしておきました」 という母がいますが、洗わないとどんどん大きくなってしまいます。

■ 脂漏性湿疹の対処法

こちらも基本は清潔と保湿ですが、皮脂の塊は上手く取れないことがあります。
対策として、お風呂に入る15分〜30分前にオリーブオイル・ワセリンを黄色いカスが付着している部分にたっぷり塗って、ふやかすとよいでしょう。
その後に、ボディーソープ・石鹸で洗うと、徐々に綺麗に取れてきます。
一度でとれないこともありますので、気長に繰り返すと徐々に取れてきます。

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 ■ 新生児痤瘡も脂漏性湿疹も原因は一緒

新生児痤瘡も脂漏性湿疹も原因は一緒で、ホルモンバランスの変化です。
子宮の中では、母親からの女性ホルモンを大量に受け取っていましたが、生まれてからは女性ホルモンが激減します。
そのため、男性ホルモンが優位に働いてしまうため、皮脂の分泌が促進され、ニキビや湿疹になるのです。

数ヶ月から半年くらいで、自然によくなるので心配いらないでしょう。

3.皮脂欠乏性湿疹について

生後すぐは皮脂が過剰に出て様々な皮膚トラブルがでますが、生後6ヶ月から逆に皮脂の分泌は急に減ります。
このため、新生児痤瘡や脂漏性皮膚炎は軽快しますが、乾燥肌(ドライスキン)になります。
ドライスキンのことを医学用語で「皮脂欠乏性湿疹」といいます。

皮脂欠乏性湿疹は、その名の通り、皮脂の不足による肌の乾燥が原因ですので、保湿が最も効果的です。
最低でも1日2回は保湿をしてあげましょう。 入浴後、すぐ塗ってあげるのが効果的です。 (オススメはこちら↓)

 乳児湿疹だけなら食事制限は不要ですよ

時々、湿疹が沢山できてしまったり、思うように皮膚が綺麗にならないので治らないので『食事制限をしたほうがよいでしょうか?』と質問されることがあります。
あるいは、『食事が原因でアトピー性皮膚炎では!?』早とちりして、食事制限を自己判断で開始してしまう方がいます。

この時期の皮膚トラブルは、皮脂の過剰な分泌や皮膚の乾燥が原因ですので、母乳をあげているお母さんが食事制限をしても、ミルクを換えても、離乳食を制限しても効果はありません。

■ 乳児湿疹が治らない理由

これは、あくまで私の経験上ですが、乳児湿疹が治らない理由は大きく2つで;

  1. 治療方針が間違っている
  2. 薬を適切に塗れていない

がほとんどです。

1. 治療方針について

乳児湿疹の治療は大まかにいって『清潔→保湿→ダメならステロイド軟膏』の順に行います。
ステロイド外用薬が必要なくらい皮膚に炎症を起こしていても、医療機関に受診していなかったり、診察した小児科医が皮膚科の知識が乏しく、適切な薬が処方されていないケースがあります。

2.薬を適切に使用できていない

処方した軟膏・ローションを適切に使用していないケースも多々あります。
一番多いのは『ステロイド外用薬は怖いから』『薄く伸ばすように言われた』といったケースです。
通常、ステロイド外用薬の強さは医師側で調節しているので、薄く塗る必要は全くありません。
むしろ、最初はしっかり塗って、早く皮膚の炎症を止めたほうが、結果的にステロイドを塗る量は少なくなります。
ステロイドの塗り薬は、飲み薬とは違って、正しく使えば副作用も最小限に抑えられますので、恐れる必要はありません。

■ 自己判断で食事制限をしないで

10年以上前は、アレルギー疾患の発症予防に、盛んに食事制限をされていた時期はありましたが、残念ながら『食事制限がアレルギー疾患の発症予防に有効』を支持する決定的な科学的根拠はありません。
もちろん、授乳中にお母さんが食事を制限しても、こどものアレルギー疾患の発症予防にならないことがほとんどです。

食事制限にもかなりデメリットがあり、栄養バランスが偏るため、こどもの発達・成長に悪影響を与える危険性があります。
ですので、安易に自己判断で食事制限を行わないようにしましょう。 

 

◎ こちらは小児アレルギーのベテランの先生と、アレルギー疾患の患者教育を熱心に行っている看護師さんで作られた本です。皮膚のケアの仕方など、分かりやすく書かれているのでオススメです。

正しく知ろう 子どものアトピー性皮膚炎

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