小児科

こどもの皮膚のバリア機能とスキンケア(保湿と清潔)について

こどものスキンケアのポイント

こどものスキンケアのポイントですが;

  • テカテカするくらい、たっぷり保湿剤を塗る
  • こまめに保湿する
  • ボディーソープは泡だてて
  • 指の腹で洗う

の4点です。

Dr.KID
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まずはポイントから!

そもそも、スキンケアってなんですか?

“スキン(skin)”は肌、”ケア(care)”はお手入れを意味します。
“スキンケア”とは、『皮膚を健康に保つため、日常生活で皮膚をお手入れすること』をいいます。
皮膚を手入れして、皮膚の働きを活発にし、スベスベの肌にして、皮膚の病気を予防することを目標にしています。

Good skin care for your face 

皮膚にはどのような機能がありますか?

こどもの肌を手入れするにあたって、まずは皮膚の基本的な機能について理解しましょう。
皮膚の機能は様々ありますが、代表的なものは;

  1. 細菌・ウイルスなど外的から守るバリア機能
  2. 汗をかき体温を一定に保つ、体温調節の機能
  3. 痛み・寒暖を感じる感覚機能
  4. 汗や皮脂を分泌する排泄機能

があります。

Dr.KID
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普段あまり気にならない皮膚ですが、(身体中を覆っているので)体で一番大きな臓器とも言えます。

皮膚のバリア機能について

皮膚は体の外からの有害物質や細菌・ウイルスの侵入を防ぎ、体の内側を守っています。
皮膚のバリア機能は4つあり、全てが皮膚の健康を保つのに重要です;

  1. 皮脂膜
  2. 角質層
  3. 角質細胞間の脂質
  4. 天然保湿因子

 

皮脂膜について

皮脂膜は、その名の通り、皮膚を覆っている脂質の膜です。
この膜は、外的である細菌・ウイルスの侵入を防止し、皮膚から水分が蒸発するのを防いでいます。

角質層と角質細胞間脂質について

角質層は、皮膚の一番外側にある層です。
ここには、10〜20層の角質細胞が積み重なっており、皮膚を防御しています。

一方、角質細胞間脂質は、角質細胞と角質細胞の隙間を埋めている脂質のことをいいます。
この脂質のおかげで、皮膚の細部同士はつながって、皮膚にある水分の蒸発を防いでくれています。

 天然保湿因子

 天然保湿因子は皮膚が作り出すアミノ酸や塩類です。
この保湿因子は、水分を引き寄せて、蒸発しないように留まらせてくれます。
結果として、瑞々しく綺麗な肌を保つのに必要な成分です。

Dr.KID
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それぞれに機能があります。

皮膚のバリア機能のバランスが崩れると…

皮膚のバリア機能が低下したり、バランスが崩れると、皮膚に様々なトラブルがでます;

  1. 皮膚は乾燥し、荒れた状態になる
  2. 傷ついた皮膚に細菌・有害物質が皮膚の内側に侵入する
  3. 皮膚が炎症を起こす

がトラブルとして非常に多いです。
皮脂欠乏症(ドライスキン)やアトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下した状態といえます。

 皮膚のバリア機能が崩れる原因

皮膚のバリア機能が崩れる原因は様々で:

  1. 高温、多湿、乾燥
  2. 紫外線
  3. 皮膚の摩擦
  4. 化学物質・ほこり・ごみ
  5. 生活リズムやストレス

が原因として多いでしょう。

Dr.KID
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ちょっとしたことで、皮膚のバリア機能が崩れてしまうことがあります。

健康な皮膚を保つためのポイント

健康的な肌を保つのに、規則正しい生活、睡眠時間の確保、食生活を気をつけるのが基本ですが、肌に直接的にできることは2つあります:

  1. 皮膚を清潔にする
  2. 皮膚の保湿をする

の2つをシンプルに続けるのが良いでしょう。

肌の清潔について

まずは肌の清潔について説明していきます。

石鹸やボディーソープはどれがいい?

『肌の清潔が重要ですよ』と説明すると、『どの石鹸・ボディーソープがいいですか?』と聞いてくる保護者が多いです。

結論からいうと、市販で購入できる、普通の石鹸・ボディーソープで十分です。
赤ちゃんや子供の肌なので、気合いを入れて高価な石鹸・ボディーソープを購入したくなるかもしれませんが、高価だからといって有効性が高いとは限りません。

石鹸・ボディーソープ選びで重要な点は2点で:

  1. 香り・着色料などの添加物が少ない
  2. 洗浄力が強すぎない

を覚えておくとよいでしょう。

特に赤ちゃん用に作られた石鹸は、無添加なものが多いのでオススメです。
泡が出るタイプだと、泡を使って優しく肌を洗うことができるので、とても重宝しています。

 

 こどもの肌の洗い方について

こどもの肌の洗い方のポイントですが;

  1. 石鹸・ボディーソープは十分に泡立て
  2. 指の腹を使って優しく洗う

の2点です。
泡で出てくるボディーソープを使用してもよいですし、泡立てネットを使ってもよいでしょう。

しっかりと泡立てたら、指の腹で肌を洗いましょう。
イメージとしては、『顔の化粧を落とすとき』くらいを指の腹に力をかけ、しっかりと汚れを落としてあげましょう。

 皮膚には汗・ほこり・唾液・食べこぼしが付着していて、炎症が起こる原因になるため、1日1回はシャワー・お風呂に入るようにしましょう。

Dr.KID
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皮膚の清潔を保つことが重要

『天然成分配合』の謳い文句に要注意!!

『天然成分配合』と書かれていると、一見すると皮膚に良さそうですし、特別感が満載で、こどものために良いことをしている、と感じてしまう方が多数います。
ですが『天然成分』には、キウイやマンゴーなどの果物の成分が入っていることがあります。

この果物の『天然成分』が、実は皮膚のかぶれの原因になることは非常にあります。
普通の市販の石鹸・ボディーソープで十分ですので、『天然成分』という言葉に騙されないようにしましょう。

Parc Natural del Montseny 

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「天然成分」と効くと体に良さそうな印象を受けてしまいますが、実は皮膚の刺激になっていることがありますので、注意しましょう。

 肌の保湿について

ドラッグストアやAmazonにも赤ちゃん用の保湿剤や乳液は沢山販売されています。
市販でおすすめの保湿剤ですと、こちらが良いでしょう↓↓

 

こちらの保湿剤も人気で、よく使用されています(コスパがいいです):

 

乾燥肌がひどいようであれば、病院やクリニックで保湿剤を処方されてもよいでしょう。

病院でよく処方するのは、『ヒルドイド』や『ビーソフテン』といったヘパリン類似物質の入っている保湿剤でしょう。
かかりつけ医にご相談されて、処方してもらうのもよいでしょう。

ヘパリン類似物質の入ったローションなどは、市販品もありますので、病院・クリニックにいく時間的な余裕のない方は、こちらを使用されても良いでしょう:

 

 ローションと軟膏を使い分けよう 

ローションと軟膏タイプの保湿剤がありますが、

  • 夏はローションタイプ
  • 秋・春・冬は軟膏タイプ
  • 乾燥がひどければワセリン

が良いでしょう。
夏は汗をかき、毛穴も詰まりやすいので、サラサラしているローションが良いでしょう。
逆に冬は乾燥が強いので、乾きにくい軟膏タイプやワセリンがオススメです。

 

スキンケアで湿疹は予防できる

乳児湿疹やアトピー性皮膚炎ができる、最初のきっかけは、皮膚のバリア機能の低下といわれています。

乳幼児は乾燥肌になりやすい体質のため、乾燥から皮膚のバリア機能が低下しやすいでしょう。
肌が乾燥し荒れてしまうと、アレルギー物質や化学物質が皮膚のすき間から入り、湿疹の原因となります。

逆に、皮膚の清潔と保湿を心がければ、皮膚の防御力は上がり、肌から刺激物が入りづらくなります。
結果的に乳児湿疹が起こりづらくなるでしょう。
皮膚の保湿の重要性は、既に科学的に証明されています。

Dr.KID
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保湿は重要!

 湿疹のある子は、お風呂に入ってはいけない!?

 『湿疹のある子は、肌がガサガサしていて、皮脂がすくないから、お風呂に入ってはいけない』
と指導されている医師が時々います。
一見すると論理的で納得してしまいそうな意見ですが、私個人としてはこの意見に反対です。

基本は皮膚の清潔と保湿

まず、お風呂に入ったり、シャワーを浴びないと、皮膚の清潔が保てません。
一日生活をすると、皮膚には様々な刺激物が付着しているので、洗い流すほうが皮膚の健康に良いのは明らかです。

また、石鹸やボディーソープで洗うと皮脂も落ちるのは事実ですが、そのために保湿剤を使用するのです。
『体を洗って皮脂が落ちても保湿剤で補えばOK』と私は考えています。

 

個人的に、コスパ最強のローションはこちらと考えています。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。