ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜

新生児のヘルペス感染は恐ろしい

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ヘルペスと聞くと、口の周りに出来る水ぶくれ(水疱)を思い浮かべる方が多いでしょう。
局部にできる性感染症を想像する方もいるでしょう。
大人のヘルペスは、自然に治ることがほとんどで、重症化する例は非常に少ないです。
今回は、新生児がかかるヘルペスについて解説していきます。

新生児ヘルペスについて

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俗にいう「ヘルペス」とは、「単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)または2型(HSV2)」による感染症をいいます。
1型(HSV1)は上半身の皮膚粘膜病巣から、2型(HSV2)は陰部から分離されることが多いです。

■ ヘルペスは産道感染が多い

新生児期のヘルペス感染は、80%程度が単純ヘルペス2型(HSV2)による感染です。
これは、感染する経路として、子宮・膣が多いためです。実際:

  • 産道感染は85%
  • 子宮内感染は5%
  • 生後での感染は10%

といわれています。

特に、妊娠第3期、つまり妊娠8ヶ月以降に妊婦が初感染すると、新生児へHSVが移るリスクが高いです。
およそ50%の確率で移るというデータもあります。

新生児がヘルペス感染の症状が出やすいのは、生後2日〜14日です。
症状は、いくつかのパターンがあるので、以下に示します。

■ 皮膚・目・口の症状(SEM, skin-eye-mouth)

日齢10日前後で、皮膚・眼・口に特徴的な水疱を伴う皮疹が出現します。
散在する水疱と眼の結膜炎が特徴的です。

新生児ヘルペスは、神経系の後遺症を残しやすいです。
過去の研究によると、治療を受けなかった場合:

  • 30%〜40%で神経に後遺症がでた
  • 75%の症例で中枢神経(脳・脊髄)や全身に感染が広がった

という報告があります。
このため、そのため、新生児ヘルペスを疑ったら、全例で治療を開始します。

基本的に全例に抗ウイルス薬を使用した治療が必要です。
抗ウイルス薬による治療をうけなければ、30-40%に神経学的後遺症を残すためです。
また、抗ウイルス薬による治療をしないと、75%が中枢神経あるいは全身に感染が広がるからです。

■ 中枢神経感染症

ヘルペスウイルスが中枢神経(脳・脊髄)に感染した場合、

  • 不機嫌が続く、ぐったりしている
  • 痙攣を繰り返す
  • 低体温になる

があります。

脳や脊髄の周りにある液のことを髄液といいますが、ここの液を培養検査に出すと、25%〜40%で陽性となります。
さらに、髄液中のタンパク質の上昇や、単球という細胞の増加を認めます。

SEMのように皮膚の異常を認めないことが、40%程度であるため、とても注意が必要です。

■ 播種性感染について

この「播種性感染」は、生後10日前後で起こります。
「播種性」とは、全身に広がることを言います。
つまり、ヘルペスウイルスが、全身の複数の臓器へと広がり、様々な症状を認める状態をいいます。

症状としては、不機嫌、痙攣、呼吸窮迫、横断、出血傾向などがあります。
非常に重篤ですので、治療による生存率は70%、神経学的異常は15%で後遺症として残る可能性があります。

新生児ヘルペスの診断方法

ヘルペスウイルスの検査は;

  • 血液検査
  • 髄液検査
  • ウイルスの培養
  • 遺伝子増幅検査(PCR

があります。
この中では、PCRは早くみれて、精度が高いのですが、特殊な機械が必要なため、行える施設はかなり限られています。
施設ごとに行える検査は限られているため、これらの検査を組み合わせて総合的に判断します。

新生児ヘルペスの治療について

基本はヘルペスウイルスに効く、抗ウイルス薬を使用します。
抗ウイルス薬 (アシクロビル) の点滴を14日〜21日程度と長期間することが多いでしょう。
アシクロビルは一般的には副作用が少ないのですが、好中球減少を起こすことがあるため、定期的に血液検査でチェックします。

 

◎ 世の保護者の方々は、子供の病気を勉強する機会は限られていると思います。小児科医が書いた病気の説明書を1冊、自宅に置いておくと、いざという時に便利でしょう。私もこの本を読んで、どのように保護者の方に伝えるとよいか、を日々勉強しています。

お母さんに伝えたい子どもの病気ホームケアガイド第4版

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