ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記〜

BCG接種とコッホ現象について解説します

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結核について

結核』とは、『結核菌』に感染することでおこります。
結核は、長引く咳、血痰、熱が続く病気で、長期的な治療が必要な病気です。
日本ではお年寄りや衛生環境の悪い地域で流行しており、毎年2万人程度の新規に結核患者が発生しています。

Mycobacterium tuberculosis culture

■ 結核菌は空気感染する

結核菌は空気感染をします。
空気感染とは、同じ空間(例えば同じフロア、同じ施設)にいるだけで感染することをいいます。
インフルエンザなどと比較しても、結核菌はかなり広範囲に広がります。

■ 結核菌の侵入をさけるのは、かなり難しい

結核菌を相手にする場合、普通のマスクをしても、普通の換気扇をしても、扉を締めても感染予防の効果が低いです。
結核菌はマスクの隙間を通って感染しますし、普通の換気扇の陰圧では不十分なのです。

このため、病院で結核患者を入院させるには、かなり特殊な設備のある部屋に入れます。
個室は必ず二重扉にし、強い陰圧をかけて結核菌が室外に漏れるのを完全に制御します。

■ 赤ちゃんも結核菌に感染します

結核は大人から子供へ感染することもあります。
特に乳児期は結核菌に感染しやすい時期です。

乳児は結核菌から体を守る力が不十分で感染しやすいのです。
さらに、赤ちゃんは重症化しやすく、粟粒結核髄膜炎を起こし、重い後遺症が残ることがあります。

結核患者の少ない国ではBCG接種は不要ですが、日本では毎年2万人の新規結核患者が発生しており、乳児期の結核予防のため、BCGを接種します。
BCGワクチン接種は生後1歳まで可能ですが、通常は生後5〜8ヶ月での接種をオススメしいます。

BCGワクチンについて

ここから、BCGワクチンについて説明していきます。
BCGは、結核菌を弱毒化して作った生ワクチンです。
ハンコ注射と俗に言われるスタンプのような針で、上腕2カ所に接種します(下図):

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■ BCGは上腕以外に接種しないほうがよいです

BCG接種をすると、上腕に痕が残ってしまうことがあります。このため、
『見えにくいお尻にうってください』
とお願いされることが、時々あります。

BCGワクチンは針で皮膚に染み込ませることで免疫が付きますので、理論上は皮膚であれば、体のどこに接種してもよいでしょう。

ですので、目立たないお尻に接種したくなる気持ちは理解できます。
しかし、上腕以外の場所に接種するとケロイド・瘢痕となることが多いため、上腕に接種したほうが良い考えています。

BCGワクチン接種後

BCGワクチン接種後は日陰で10分かけて乾燥させます。
クリニック・保健センターで予防接種した後は、しばらく体調に変化ないか様子をみるため、日光を浴びることはまずないでしょう。

ワクチン接種後に入浴は可能です。
ですが、接種部位を擦りすぎたり、揉んだりするのはやめましょう。

ワクチン接種後の経過について

接種後の経過は、以下の通りです:

  • 10日後:接種部位に赤いポツポツができる
  • 3週後:接種部位が腫れて、周囲の赤みが強くなる
  • 6週後:赤みが強くなり、膿が出ることもある
  • 2月後:徐々に赤みは薄くなる
  • 4月後:瘡蓋(かさぶた)が取れて、痕が残る

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3〜4ヶ月しても、接種部位のかさぶたが取れず、ジュクジュクしている場合は医師に相談するとよいでしょう。

脇の下のリンパ節が腫れることもあります。
大きくなったり、痛がるようなら医師に相談されてよいでしょう。

BCG接種後のコッホ現象って何ですか!?

コッホ現象とは、BCG接種後1〜5日以内に接種部位の針痕が急激に赤く腫れ上がることをいいます。

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この腫れはすぐに治まるのですが、コッホ現象がみられる場合は、赤ちゃんがワクチン接種前に、既に結核菌へ感染していた可能性があります。
まずは、BCG接種をうけた医療機関か指定された病院へ受診しましょう。

◎ こちらは感染症のエキスパート(専門家)として有名な岩田健太郎先生が書いた著書です。ワクチンの情報は混沌としていますが、まずは感染症の専門家からの情報を参考にすると良いでしょう。

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