ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記のブログ〜

論文

牛乳をやめると小児の便秘は改善するのか?

慢性的な便秘は小児の3%〜16%が経験するといわれています。 こどもが便秘に悩まされ、外来に受診するケースは非常に多いです。 およそ3分の1の小児便秘は、成人になってからも便秘が続くと報告されています。 ▪️ 食事と便秘について 食生活と便秘は関…

続編②:トイレ・トレーニングとオムツが外せる時期について(データシミュレーション編)

前回はスイスで行われたトイレ・トレーニングの観察研究のデータを解説してきました。 排便のコントロール 日中の排尿コントロール 夜間の排尿コントロール 排便・排尿すべてのコントロール の4つにわけてグラフで示すと、以下のようになります。 ▪️ データ…

コーヒー・紅茶は肝臓ガンのリスクを下げるかもしれない

今回はコーヒー・紅茶は肝臓ガンのリスクを減らすかもしれない、という報告をした論文をピックアップしました。(全文、無料で読めます) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.29214 かくいう私はコーヒーが大好きで1日に4−5杯ほどコン…

『牛乳を飲むと身長が伸びる』はウソなのか?本当なのか?

先日、こんなツイートを見かけました。 「牛乳を飲むと身長が伸びる」というのは都市伝説ではなく、日本の児童(食の科学. 2003:310;4-8.)、海外(Arch Dis Child. 2015 May;100(5):460-5.)でもたくさん飲むと身長が1~2.5cmほど上乗せされると報告されて…

慢性的なヒ素を摂取は、流産や死産の誘因になるかもしれない

井戸水というと天然の水でおいしいというイメージを持っている方がいるかもしれません。 確かに安全な井戸水であればもちろん良いのですが、井戸水には予期せぬ細菌が入っていたり、化学物質が混入している場合があります。 日本ですと水質調査が行われたり…

夜勤をすると乳ガン発症のリスクは上がるのか?

今回はこちらの論文をピックアップしました。 www.ncbi.nlm.nih.gov 「夜勤は乳癌のリスクをあげるのか?」という疑問に答えてくれた論文です。 Google Analyticsによると、当ブログは20〜30代の女性が最も閲覧されており、おそらく。これから子育て、あるい…

添い寝はSIDS(乳児突然死症候群)のリスクを上昇させる

今回はこちらの研究をピックアップしました。 『添い寝はSIDS(乳児突然死症候群)のリスクを上げるか?』という疑問に対して、メタ解析という手法で答えています。 SIDS(乳児突然死症候群)について 『SIDS』は『Sudden Infantile Death Syndrome』の頭文…

研修医の勤務時間に制限を設けるべきか?

今回はアメリカで行われた内科系の研修医の教育プログラムの論文をピックアップしました。 アメリカでは研修医の労働時間は厳格に定められており、 1週間あたりの勤務時間は80時間まで 1シフトあたり30時間を超えてはならない という基準がありました。 こ…

小児の喘息発作時にデキサメタゾンとプレドニゾロンどちらがよいか?

気管支喘息は空気の通り道が過敏になる疾患で、かぜをひいたり、季節の変わり目などに増悪します。 このことを気管支喘息発作といいます。 喘息発作になると、息苦しい、呼吸がしづらい、咳がひどい、ヒューヒュー・ゼーゼーと呼吸の音が聞こえることがあり…

CTで放射線被曝をすると、白血病や脳腫瘍のリスクはどのくらい上がりますか?

今回は2012年にLancetという(有名な)英文医学雑誌に掲載された論文をピックアップしました。 この論文はオープンアクセスですので、どなたでも英文を全文読むことができます。 研究の背景 CTは病気の診断や、重篤な疾患の除外をするために使用されています…

抗ヒスタミン薬は急性中耳炎の治療に使用するメリットがない

過去に抗ヒスタミン薬による副作用を説明してきました: こどものかぜに抗ヒスタミン薬が処方されていることがありますが、中耳炎を予防することもできません。 急性中耳炎はこどもでは非常にありふれた疾患で、抗菌薬を用いて治療されます。 しかし、抗菌薬…

熱性けいれんガイドラインの変更で、アメリカの医師の診療はどう変化したか?

少し古い論文ですが、熱性けいれんのガイドラインが変更されたあと、医師の診療がどのように変化したのかをみた論文をピックアップしてみました。 www.ncbi.nlm.nih.gov 近年は、日本でもガイドラインは次々と作られ、医師の診療の決断に影響をしていると思…

ワクチン後に解熱薬を使っても抗体(免疫)は獲得できるでしょう

▪️ ワクチン摂取後に発熱することがあります ワクチン摂取後に発熱してしまうことがあります。 ほとんどは1日以内に発熱して、熱は長引かないことが多いです。 発熱しやすいワクチンもあり; 肺炎球菌ワクチン インフルエンザワクチン 四種混合ワクチン な…

【査読】スウェーデンの子宮頸癌の発症率増加は、HPVワクチンと関連している可能性はあるのか?

今回はこちらの論文をピックアップしました。 Twitter上で様々なコメントがみられており、一部の方は混乱しているのかもしれません。 私自身は小児科医であり疫学者で、普段は小児の健康に関するデータを扱う仕事もしています。一個人として、こちらの論文を…

小児科医の『なにかおかしい?』という第六感は、こどもの重症化を予測しているのかも

▪️ 小児科は第六感が大事 統計学や疫学を生業にしている私がこんなことを言うと、他の小児科医たちに怒られそうですが、小児科医は「第六感」が大事です。 パッと診察室で子供をみて、病歴や診察では特に大きな異常がないけれども、「何か変」と感じることが…

BCGワクチンは肺結核、粟粒結核・髄膜炎の予防に有効

日本では「ハンコ注射」でおなじみのBCGワクチンです。 BCGワクチンは肺結核、粟粒結核、結核性髄膜炎に有効といわれていますが、今回はその有効性を示した論文をピックアップしました。 研究の背景 研究の解析が始められた2009年までにBCGワクチンの有効性…

熱性けいれん後は保護者の不安が増大している

熱性けいれんは5歳以下の小児に起こる良性のけいれん発作です。 「良性」というくらいなので、基本的に後遺症や障害を残すことはありません。 そうはいっても、目の前でけいれんを起こされた場合 『この子が死んでしまうかもしれないと思った』 とおっしゃ…

解熱薬を使用しても熱性けいれんの再発は予防できない

『熱性けいれんのある子供に、解熱剤を使用しないでください。熱が上下するので、けいれんが再発しやすくなります』 『熱性けいれんの子供に解熱剤を使用すれば、熱が下がるので、けいれんの再発予防になります』 といった間違った知識の下に指導がされてい…

ジアゼパム(ダイアップ)は熱性けいれんの入院患者で使用すべきか?

今回はこちらの論文をピックアップしました。 2009年に国内の施設でされた研究です。 熱性けいれんで入院した患者に、ジアゼパム(ダイアップ)を使用すべきか、という問題に答えています。 研究の背景 熱性けいれんの治療方法は小児科医でもジレンマがいく…

テオフィリンを内服していると、熱性けいれんの持続時間は長い傾向にある

第一世代の抗ヒスタミン薬(ペリアクチン・ポララミン・セレスタミンなど)は副作用が多く、小児への使用はかなり慎重に行ったほうがよい旨を以前説明しました。 今回は、抗ヒスタミン薬とテオフィリンが、熱性けいれんの持続時間への影響を示した研究をみつ…

ジアゼパム(ダイアップ)の使用で、熱性けいれんの再発は予防できるのか?

熱性けいれんは生後6ヶ月〜5歳で比較的よく見られる疾患です。 詳しくはこちらに記載されていますので、参考にされてください; 今回はこちらの論文をピックアップしました。 ジアゼパム(ダイアップ)は熱性けいれんの再発予防でよく使用されています。 …

小児インフルエンザの臨床診断はあてにならない?

今回はこちらの論文をピックアップしました。インフルエンザの臨床診断の正確性について検討した論文です; 冬場になると、どこの病院もインフルエンザの患者さんで外来はパンク状態になります。 待ち時間が長くなる理由として、迅速検査にあります。 迅速検…

抗ヒスタミン薬や鼻づまりの薬は小児の中耳炎の予防に効果なし

今回はクラシックな論文をピックアップしました。 1979年にPediatricsで発表されたランダム化比較試験です。 研究の背景 中耳炎は6歳以下の小児に比較的頻回に起こる疾患です。治療法は軽症であれば鎮痛剤、中等症以上であれば抗生物質を使用するのが一般的…

インフルエンザの迅速検査で陰性と言われましたが、本当にインフルエンザじゃないですか?〜データと陰性的中率から考察する〜

前回、インフルエンザ迅速検査の感度は発熱から検査をするまでの時間で大きく変化することを説明してきました。 上の図を用いて説明してきたように、感度80%以上の状態で迅速検査を行いたい場合、最低でも24時間は経過してからのほうが良いと言えます。 ■ 感…

【論文解説】川崎病とインフリキシマブ

川崎病の治療は; アスピリン 免疫グロブリン ステロイド が中心となっていますが、これら以外にもいくつか選択肢があります。 近年、注目されているのがインフリキシマブ(レミケード®︎)でして、この薬の有効性を示した論文がでてきたので、解説してみます…

インフルエンザ迅速検査は発熱後何時間が適切かデータから読み解いてみた

前回、インフルエンザ迅速検査の感度・特異度について記載された論文の解説をしてきました。 恥ずかしながら、この論文を読む前までは 『インフルエンザ検査は発熱12時間以降にしましょう』 と平気で発言していました。 しかし、この論文を読んで、個人的に…

インフルエンザの迅速検査は発熱後24-48時間に!

今回の論文はこちら: 2011年のEuropean Journal of Pediatrics (欧州小児科学会の英文誌)に掲載された論文です。(スイスで行われた研究のようです) なかには『お子さんのインフルエンザの検査は、発症後〇〇時間くらい経過していないと検査できません』…

抗インフルエンザ薬は結局どれを使用すればよいのか?〜タミフル vs. リレンザ vs. イナビル vs. ラピアクタの比較試験〜

今回はこちらの論文をピックアップしました。 小児の抗インフルエンザ薬(Neuraminidase阻害薬)4剤を比較した日本発のRCTです。 抗インフルエンザ薬(Neuraminidase阻害薬)で小児によく使用されるのは; タミフル(Oseltamivir;内服薬):2001年に承認 …

離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防する

今回の論文は、国立成育医療研究センターから。食物アレルギーは食物除去から、早期導入による予防へと変化しつつあります。 研究の背景 日本を含む先進国では、食物アレルギーの罹患率は高まっています。 ■ 極端な食品除去によるアレルギー発症予防の時代は…

時間外受診・開業医・非小児科は、子供の風邪に抗生剤を処方する傾向がある

風邪に抗生物質は不要です 前回、こちらの記事で風邪に抗生物質が不要と説明してきました。簡単にまとめると: 風邪はウイルス感染がほとんど 抗生物質は細菌には効くが、ウイルスには効かない 風邪に抗生物質を使用するのは科学的根拠のない治療 やみくもに…