ドクター・キッド

〜小児科医が解説する子供の健康・病気と単なる雑記のブログ〜

薬剤耐性菌のMRSAってなんですか?

『抗菌薬を安易に使っていると、耐性菌ができてしまう』 と聞いたことがあるかもしれません。 耐性菌で有名な菌の1つにMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)があります。 今回は、こちらの耐性菌について解説してみようと思います。 黄色ブドウ球菌って何…

肝炎について教えてください

肝炎って何ですか? 肝炎とは、その名の通り『肝臓に炎症が起きている状態』をいいます。 肝臓は有害な物質を分解したり、栄養を貯蓄したり、胆汁という消化酵素を分泌したりと、様々な機能を担っています。 そこに炎症が起きてしまうと、肝臓の機能が著しく…

感染症疫学②:実効再生産数(R)とS-I-R モデルについて

前回、感染症疫学(Infectious disease epidemiology)」の「基本のき」であるR0(基本再生産数)について解説してきました。 R0は、新規に感染症にかかった1人が、免疫をもたない集団に入った場合、感染させることができる人数のことをいいました。 今回は…

「知恵熱」と「生歯熱」について解説します

『うちの子、知恵熱でしょうか?』 夜の救急外来で、受診した子供の母に付き添ったおばあちゃんから、こう聞かれたのを今でも覚えています。 当時、私は小児科研修を始めたばかりで、恥ずかしながら『知恵熱』という単語を知りませんでした。 診察に付き添っ…

牛乳をやめると小児の便秘は改善するのか?

慢性的な便秘は小児の3%〜16%が経験するといわれています。 こどもが便秘に悩まされ、外来に受診するケースは非常に多いです。 およそ3分の1の小児便秘は、成人になってからも便秘が続くと報告されています。 ▪️ 食事と便秘について 食生活と便秘は関…

おむつ皮膚炎の原因について、簡単に解説します

おむつ皮膚炎は、おむつで覆われた部位の皮膚が炎症をおこした状態をいいます。 特に、新生児や乳児では非常に多く、7〜35%はおむつ皮膚炎を起こすと言われています。 おむつ皮膚炎の起きやすい月齢は9〜12ヶ月と言われていますが、おむつを履いてい…

肥厚性幽門狭窄症について教えてください

肥厚性幽門狭窄症ってなんですか? 肥厚性幽門狭窄症は、その名の通り胃の出口である幽門(ゆうもん)部が肥厚して、狭くなってしまった状態をいいます。 少しイメージしづらいと思いますので、イラストを使ってみていきましょう。 ▪️ 胃はどこになりますか…

続編②:トイレ・トレーニングとオムツが外せる時期について(データシミュレーション編)

前回はスイスで行われたトイレ・トレーニングの観察研究のデータを解説してきました。 排便のコントロール 日中の排尿コントロール 夜間の排尿コントロール 排便・排尿すべてのコントロール の4つにわけてグラフで示すと、以下のようになります。 ▪️ データ…

続編①:トイレ・トレーニングとオムツが外せる時期について

前回、トイレ・トレーニングについてツイート&記事を投稿したら、かなり反響が大きかったです。 昼夜ともに排便・排尿をコントロールできるのは:◉ 2歳5%◉ 3歳10%◉ 4歳77%◉ 6歳91%です。焦らず気長にトイレ・トレーニングしていきましょう。…

感染症疫学①:基本再生産数(R0)について

先日、感染症科の先生方に「感染症疫学(Infectious disease epidemiology)」について色々と質問される機会がありました。 感染症疫学の手法は、普段の研究で使う機会が乏しいのもあって、気がつくと色々と忘れて、また本を読み直してを繰り返しているため…

小児の下痢について解説します

下痢の定義について 年齢によって排便の回数が異なるため、普段より排便の回数が多い場合に下痢を疑うことがあります。 また、新生児や乳児は便がそもそも水様性であったり、泥状なので、形だけで区別するのが難しいことがあります。 ▪️ 排便回数から下痢を…

気管支喘息ってなんですか?

気管支喘息(ぜんそく)ってなんですか? 喘息(ぜんそく)は、呼吸がしづらくなる状態をいいます。 喘息はいつも症状があるわけではないですが、一旦、喘息発作を起こしてしまうと呼吸が急にしづらくなります。 喘息発作の症状について 気管支喘息発作は、 …

日中にお漏らしをしてしまいました...

『日中はオムツを外せていたのに、急にお漏らしをしてしまいました』 と心配になって外来で相談される方もいます。 今回は幼児の日中のお漏らしについて、解説してみようと思います。 幼児の日中のお漏らしは正常か? 大まかにいうとほとんどのケースで正常…

新生児の22%は頭蓋癆で、完全母乳栄養だとビタミンD不足状態が遷延しやすい

今回はこちらの論文をピックアップしました。 母乳栄養は様々な利点がありますが、全く欠点がないわけではありません。 例えば、鉄欠乏や脂溶性ビタミンの欠乏は以前から指摘されています。 今回は日本の小児において、完全母乳栄養とビタミンDをトピックし…

コーヒー・紅茶は肝臓ガンのリスクを下げるかもしれない

今回はコーヒー・紅茶は肝臓ガンのリスクを減らすかもしれない、という報告をした論文をピックアップしました。(全文、無料で読めます) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.29214 かくいう私はコーヒーが大好きで1日に4−5杯ほどコン…

『牛乳を飲むと身長が伸びる』はウソなのか?本当なのか?

先日、こんなツイートを見かけました。 「牛乳を飲むと身長が伸びる」というのは都市伝説ではなく、日本の児童(食の科学. 2003:310;4-8.)、海外(Arch Dis Child. 2015 May;100(5):460-5.)でもたくさん飲むと身長が1~2.5cmほど上乗せされると報告されて…

小児の夜驚症・錯乱性覚醒・悪夢について

夜驚症・錯乱性覚醒・悪夢について ▪️ 夜驚症とは? 夜驚症(やきょうしょう)とは、夜中に急に子供が起きて、非常に取り乱した状態(狼狽したり、驚いたりする)をいいます。 特に叫びだして、ベッドから飛び上がったりすることもあります。 時に汗をかいた…

小児の皮膚感染症(蜂窩織炎)について解説します

蜂窩織炎って何ですか? 蜂窩織炎は「ほうかしきえん」と読み、平たくいうと皮膚や皮下にある軟部組織の感染症をいいます。 蜂窩織炎を起こす原因は細菌感染がほとんどで; 黄色ブドウ球菌 連鎖球菌(主に溶連菌) が多いです。 ▪️ 蜂窩織炎が起こりやすい場…

新生児の黄疸について解説します②:合併症と治療

前回、新生児黄疸は体内にビリルビンが蓄積することが原因と説明してきました。 今回は新生児黄疸の合併症と治療について説明していきます。 新生児の黄疸の合併症について 黄疸は血中のビリルビン濃度が高くなると起こりますが、高くなりすぎると脳に対して…

新生児の黄疸について解説します①:症状と診断

新生児黄疸とは? 黄疸はその名の通り、肌や白目が黄色くなる状態をいい、新生児が黄疸になることは非常に多いです。 黄疸の原因はビリルビンという物質の蓄積で起こります。 血液中のビリルビン濃度が高いと、皮膚などにビリルビンが蓄積して「黄疸」が起こ…

慢性的なヒ素を摂取は、流産や死産の誘因になるかもしれない

井戸水というと天然の水でおいしいというイメージを持っている方がいるかもしれません。 確かに安全な井戸水であればもちろん良いのですが、井戸水には予期せぬ細菌が入っていたり、化学物質が混入している場合があります。 日本ですと水質調査が行われたり…

小児の心室中隔欠損について簡単に説明します

通常、心臓は左心室・左心房・右心室・右心房と4つの部屋に区切られています。 心室中隔欠損(VSD, ventricular septal defect)は左心室と右心室の間に穴が開いてしまった状態をいいます。(上の図右) 左心室にある血液は本来は大動脈を介して全身に回り…

小児の血尿について解説します

『学校の検診で血尿を指摘されました』と受診されることがあります。 『血尿』とは、腎臓・尿管・膀胱のいずれかから出血して、尿に血液が混ざった状態をいいます。 血尿と聞くと恐ろしいイメージを持つ方が多いでしょうが、小児の場合は原因により様々でし…

小児の血便について解説します

『こどものうんちに赤いものが混じっていました』 と驚かれて受診されることがあります。 小児でも血便が出ることはありますが、原因はさまざまです。 少量の血便であれば重症でないことが多いですが、原因を検索する必要があります。 血便が出ていたら受診…

夜勤をすると乳ガン発症のリスクは上がるのか?

今回はこちらの論文をピックアップしました。 www.ncbi.nlm.nih.gov 「夜勤は乳癌のリスクをあげるのか?」という疑問に答えてくれた論文です。 Google Analyticsによると、当ブログは20〜30代の女性が最も閲覧されており、おそらく。これから子育て、あるい…

小児の風邪について詳しく解説します②:かぜの治療と受診の目安について

前回は風邪の原因、症状と合併症について解説してきました。 今回は風邪の治療について説明しようと思います。 対症療法について 『対症療法で様子をみましょう』 と外来で小児科医に説明されたことがあるかもしれません。 対症療法とは、症状に応じたお薬を…

小児の風邪について詳しく解説します①:原因・症状・合併症について

小児の風邪は乳幼児や学童を含め、最も多い病気です。 こどもが風邪を引くと登校・登園ができなくなりますし、保護者も仕事を休まなければいけなくなるケースも出てきます。 今回は2回にわたり、 風邪の原因 風邪の症状 風邪の治療 について解説していこう…

母乳と卒乳に関する相談にお答えします②

前回は、どのように卒乳の時期を決めるべきか、卒乳にともなう感情面での変化について説明してきました。 今回は、どのように母乳を減らして卒乳するかについて、考えてみようと思います。 どのように母乳を減らしていくか? 母乳の回数を徐々に減らして卒乳…

母乳と卒乳に関する相談にお答えします①

『卒乳はどうしたらよいですか?』 というご相談を外来でされることがあります。 『〇〇になったから、卒乳しましょう』という一定の基準はありませんが、生後12ヶ月以降であれば、母と子どもで決めてしまってよいと思います。 生後12ヶ月までは母乳を続けま…

おむつ皮膚炎の治療はA・B・C・D・E

今回はこちらの論文をピックアップしました。 こちらの論文では、おむつ皮膚炎の治療法について、(少しジョークを交えながら)ノウハウが記載されていました。 有益な内容も多数ありましたので、ご紹介させていただきます。 おむつ皮膚炎の治療はA・B・C・D…